南イタリア・プーリア地方の家庭料理を提供する食堂「La Cucina Nao(ラ・クチーナ・ナオ)」(墨田区京島1)が11月7日にグランドオープンした。
もともと焼き菓子店だった同店は今年6月に屋号を「ラ・クチーナ・ナオ」に変更し、夏から秋にかけて改装を進めて準備を整えた。ラ・クチーナは「キッチン」を意味し、店主でシェフの三宅奈生さんが「ようこそ」と「ただいま」が自然と交わる「第二の食卓」をつくりたいとの思いで立ち上げた。
三宅さんは墨田区生まれ。専門学校卒業後はイタリアン一筋で、20代で1年半、イタリアで修業した。オリーブオイルを基盤にしたあっさりした料理、貧しい生活の中でも食文化を大切にする人々の姿、身近な肉や野菜を生かす南イタリアの料理に引かれたという。
南イタリア・プーリア地方の家庭料理「クチーナ・ボーヴァラ」は、オレッキエッテを使ったパスタや魚介料理など、「飾らず素朴で素材の味を大切にする料理が特徴」だという。
三宅さんは「イタリアは南北で文化も人のルーツも大きく異なり、特に南部はアラブ系の影響を受けた多様性のある地域。料理もその背景によって全く違う。南イタリアの料理は素材そのものを食べる家庭料理が中心で、日本食にも共通する部分がある。四季の食材を生かす姿勢を店の料理にも反映している」と話す。
同所での歩みについて、三宅さんは「東向島で居酒屋『はりや』を経営する荘司美幸さんとの出会いがきっかけ。「2階の食堂(デリカフェ)」の店長を経て、2023年1月からは焼き菓子とイタリアンの店の運営を委託契約で営業を開始。焼き菓子は徐々に縮小し、今年春から、『いつ独立するか』を荘司さんと話し合いながら準備を進めてきた」と振り返る。
料理は前菜、パスタに加え、肉や魚のメイン料理も常備する。「生うにたっぷりのスパゲッティ」(1,600円)、「お勧めの盛り合わせ3種」(1,000円)、「コース料理」(3,500円~)などを用意。「前菜の盛り合わせは旬の食材を使うため、絶対に同じものにはならない。パスタはお任せをいただくことが多く、その時の気分やおなかの具合を聞きながら決めていく」という、会話を大切にしたスタイルで経営する。
カウンター8席を設ける店内では、「何を食べているのですか?」と尋ねられた常連客が料理の内容を説明する場面もあるという。「ワンオペなので、こうしたつながりに助けられている」と三宅さん。店のロゴには「お客さまに囲まれている自分」というイメージを込めたという。
営業時間は、ランチ=11時30分~15時、ディナー=17時~21時。月曜定休。