すみだ北斎美術館(墨田区亀沢2)で12月11日、企画展「浮世絵版画大百科」が始まる。
展示されている、江戸のペーパークラフト「組上絵(くみあげえ)」。作るにはかなりの根気が必要
版画の仕組みや技法、紙の違いを北斎作品と共に紹介し、浮世絵をより深く楽しめるようにするほか、館内には初めて「ぬい撮りスポット」を設け、北斎作品を背景に持参したぬいぐるみやアクリルスタンドと撮影を楽しめる。
同展は全4章で構成。第1章では、浮世絵版画の成り立ちと、江戸の庶民に広がったメディアとしての歴史を紹介し、仏画印仏から多色刷り誕生までを分かりやすくたどる。第2章では、版木・彫り・刷りなどの制作工程と、紙の種類や判型の違いに注目。照明を当てて紙の厚さを観察できる体験展示も用意した。第3章では、北斎が駆使した表現技法に焦点を当て、同じ図でも刷りの違いによる色調の変化や、波・水流などの描写を比較できる。第4章では、北斎が描いた江戸の暮らしを取り上げ、行事、職人、動植物などを題材に庶民の生活文化を読み解く内容とした。
第3章では「作ってみた 江戸のペーパークラフト」と題したコーナーを設け、江戸時代に流行した切り抜き工作「組上絵(くみあげえ)」の実演展示も行う。担当学芸員の根岸美佳さんは「切り抜いて組み立てて遊ぶ、おもちゃ絵の一種。館内でも販売しているが、根気がいる作業なので、時間と心に余裕がある方や『習うより慣れよ』派の方にお勧め」と話す。
開館時間は10時~17時。月曜・年末年始休館。観覧料は一般1,200円ほか。2026年2月23日まで。前後期で一部展示替えを行う。