
東京スカイツリー天望デッキ「フロア350」(墨田区押上1)で5月19日、本所警察署主催の「テロ対処合同訓練」が行われた。官民が連携して突発的な事案に備える実践訓練で、観光施設としての防犯体制の確認と関係機関の連携強化を目的に実施した。
同施設では開業前に訓練を行った実績があるが、2012(平成24)年5月22日の開業後に展望台で実施したのは今回が初めて。国内外から多くの来場者を迎える観光拠点で、非常事態への備えとして訓練を行った。
当日は8時20分、スカイツリーの警備会社職員や警察関係者など33人が参加して訓練がスタート。訓練は、不審者が「爆発物を仕掛けた」と刃物を持って大声で叫ぶという想定で実施された。
構成は5つのフェーズに分かれ、「警備会社職員による110番通報訓練」を皮切りに、「不審者への対峙(たいじ)と来場客の避難誘導」「犯人の検挙訓練」「警備犬による爆発物検索」「爆発物処理班による爆発物処理」と、実際の発生時を想定した流れで行った。
犯人の検挙訓練では、到着した4人の警察官がさすまた、大盾、警棒をそれぞれ装備して、犯人を取り押さえ検挙した。警備犬の訓練では、人間の6000倍~1万倍といわれる嗅覚を活用し、不審物を発見する様子を再現。爆発物処理訓練では、アーム式の遠隔操作ロボットを用いて、不審物の外形確認や安全な回収作業を行う手順を披露した。
本所警察署の石森光輝副署長は「どこでも起き得る社会情勢の中、関係機関と連携を深め、警戒を続けていくことが重要」と話す。今後、参議院選挙や大会など大規模行事を控え、さらなる警備体制の強化を進める方針。
東京スカイツリー広報課の大江一彰さんは「東京スカイツリーではインバウンドを含め国内外から多くのお客さまに来場いただいている。官民合同でのテロ対処訓練に当社が協力・参加することにより、関係機関との連携強化とテロ対処能力向上につなげ、お客さまに安心して来場いただける施設運営を目指す」と話す。