文化イベント「隅田川 森羅万象 墨に夢（通称＝すみゆめ）」の公募プロジェクトの歩みをまとめたマップ「すみゆめプロジェクト in SUMIDA」が公開された。約10年間にわたり区内各地で展開されてきた企画の軌跡を、地図上で見渡せる。

「すみゆめプロジェクト in SUMIDA」の裏面

　マップには、これまで実施されてきた公募プロジェクトの実施場所や概要をプロット。隅田川流域をはじめ、公園や商店街、文化施設、学校など、活動が行われてきたエリアを一覧できる。「どこでどのような取り組みが生まれてきたか」を場所の視点から振り返ることができるのが特徴。

　マップでは、区内を「鐘ヶ淵・向島」「吾妻橋・押上」「両国・菊川」「八広・京島」「錦糸町」の5つのエリアに分け、それぞれで展開されてきたプロジェクトの特徴を示している。鐘ヶ淵・向島は水辺の景観を生かした取り組みが中心で、川沿いの広場や公園を舞台にした屋外企画が多い。

　吾妻橋・押上は東京スカイツリー周辺のにぎわいと結び付き、観光客と地域住民が交わる場での企画が集まる。両国・菊川は歴史やものづくりの土壌を背景にした展示や公演が目立ち、文化施設やホールなどでの活動が多い。

　八広・京島は住宅地や商店街を生かした小さな拠点での取り組みが中心で、暮らしに寄り添う形のプロジェクトが広がる。錦糸町は駅周辺のにぎわいと商業施設を背景にしたイベントが多く、音楽やパフォーマンスなど参加型企画が集まるエリアとして位置付けられている。

　作成したのは「すみゆめ」事務局。10年にわたり積み重ねてきたプロジェクトの蓄積を可視化することで、地域との関わり方や企画の広がりを共有する狙いがある。単発のイベントとしてではなく、まち全体の中で展開してきた流れを俯瞰できる内容となる。

　マップは、来年度に始まる新しい芸術祭「すみだ五彩の芸術祭」の参考資料としても位置付ける。現在募集している〈公募プロジェクト〉の応募者に向け、過去の事例や地域資源を知るための手がかりとして活用してもらうほか、一般の人も閲覧できる。