多世代交流イベント「まな防災!世代をこえてそなえよう」が12月28日、東白鬚公園(墨田区堤通)周辺で開かれた。親子連れやシニア、学生など約46人が参加し、年末の穏やかな晴天の下、防災をテーマにした見学ツアーと体験型プログラムに取り組んだ。
当日は梅若橋コミュニティ会館に集合後、災害対応リヤカー型移動図書館「北斎丸」の使い方を学び、東白鬚公園サービスセンター前をスタート地点とする「防災見学ツアー」を実施。公園内に設置されている防災設備を巡りながら、災害時の避難や備えについて解説が行われた。参加者は実際の設備を前に説明を聞き、質問を交えながら理解を深めていた。
見学後は「防災×あそび」をテーマにした企画を展開。子どもから大人まで一緒に参加できるゲームを通じて防災意識を高めた。特に「じゃんけん列車」は、参加者同士が顔を合わせて声を掛け合う関係性づくりを目的に導入されたプログラム。ジャンケンの勝ち負けだけでなく列車としてつながり続ける必要があり、列が離れないよう前の人に速度を伝えたり、肩に手を添えてよいか同意を得たりする場面が自然に生まれた。こうして必然的なコミュニケーションが重なり、40人を超える長い列ができあがり、大人も子どもも一体となってこの日一番の盛り上がりとなった。
参加者からは「ただ話を聞くだけでなく、実際に見て動くことで理解しやすかった」「世代をこえて一緒に学べたのが良かった」といった声が聞かれた。
本企画は2025年8月から「SUMIDAこども未来応援団5回シリーズ」として実施し、すべての回で定員を上回る申し込みが寄せられた。回を重ねるごとに、参加者や子どもたちが準備や運営にも主体的に関わるようになり、「支えられる側」から「担い手」へと役割を広げていく姿も見られたという。
主催者の平尾麻衣子さんは「今年度のプロジェクトを通して、地域に暮らす一人一人の力が集まると大きな力になることを実感した。こどもとシニアは生活弱者とカテゴライズされることもあるが、誰しもパワーを秘めている。皆がいきいきと暮らせる地域づくりに、これからもチャレンジしていきたい」と話す。
企画運営に携わった親子あそび「元気いっぱい」の皆川未来さんは「災害時は『はじめまして』の人どうしが多くなる場面も想定されるため、声を掛け合うことが大切だと感じている。今はAIやオンラインの活用が進んでいるが、こうしたリアルなコミュニケーションの場の大切さを改めて実感した」と話す。