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インタビュー 「すみだ活性化のキーパーソンが語る墨田と私」
山田昇 墨田区商店街連合会会長/全国商店街新興組合連合会 理事長(中編)

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――商店街との出会い、河内音頭のはじまり、すみだポイント改革まで

すみだ経済新聞:ではここからはいよいよ商店街活動についてお聞きしたいと思います。商店街活動に関わるようになったきっかけについて教えてください。

山田会長:きっかけは、錦糸町で商店街振興組合をやっていた先輩に「手伝ってくれ」と声をかけられたことです。そこから青年部に入って、イベントの企画運営や地域活動に関わるようになりました。

すみだ経済新聞:若いころから地域のにぎわいづくりに関わっておられたんですね。

山田会長:ええ。やっているうちに地域が元気になっていくのを肌で感じて、だんだんと面白くなっていきました。青年部での経験は、今の自分にとっても大きな土台になっています。

 

すみだ経済新聞:「すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り」も、その頃に始められたそうですね。

山田会長:そうです。今から約44年前、墨田病院の跡地、今はマンションや駐車場になっている場所でスタートしました。当時はほかのコンテンツ案もありましたが、最終的に河内音頭でいこうと決めて、青年部の仲間たちと一緒に手づくりで始めたんです。

すみだ経済新聞:現在は高架下で行われていますね。

山田会長:はい。今は高架下の竪川親水公園で開催しています。全天候型なので雨でも中止せずに済むのは利点です。ただ、風が抜けにくくて熱がこもるのが難点。今年は7月の最後の水曜・木曜に開催しました。例年は8月ですが、台風や他の祭りとの重複、それに役員の高齢化もあり、時期をずらすことにしました。
※インタビューは7月下旬、河内音頭大盆踊り直前に行いました

すみだ経済新聞:2日間で3万人が訪れるという大規模なイベントになりました。

山田会長:最初は本当に小さな規模でしたが、続けていくうちに地域の人たちが楽しみにしてくれるようになりました。会社帰りのサラリーマンがカバンを持ったまま踊りに加わったり、自転車でふらっと立ち寄った人がそのまま参加したり。そういう気軽さが良かったんだと思います。
 暑い中、踊ると汗をかきますね。思い切り踊って汗をかいてストレスも流してもらいたいと思っています。


すみだ経済新聞
:運営には多くの人が関わっているそうですね。

山田会長:町会や商店街の人たちは、もう労働部みたいなものです(笑)。大型店の従業員さんたちも協力してくれていて、ボランティアの方なども、自分から盛り上げてくれる。本当に助かっています。

すみだ経済新聞:墨田区には、イベントを“自分ごと”として関わる人が多いように感じます。

山田会長:ありがたいですよ。やっぱりこの辺は、地域のために動いてくれる人が多い。そういう人たちに支えられているから、続けてこられたんだと思います。

すみだ経済新聞:地域イベントが果たす役割については、どうお考えですか?

山田会長:まちでイベントをやれば、明るくなるし、治安も良くなる。暮らしやすくなって、人も住むようになる。それで、商店街にも足を運んでもらえるようになるんです。

すみだ経済新聞:一時、「公園の子どもの声がうるさい」などのクレームがあり、その結果公園を廃止するという対応が全国的に話題になりました。そういった風潮についてどう思われますか?

山田会長:イベントや祭りでいえば年に1回のことですよ。そんなに目くじら立てる必要はない。私はね、「子どもの声がしない国のほうがよっぽど怖い」と思っています。昔からやってきたことを、たった1人の声でやめるなんて、それは違うと思うんですよ。行政の対応力が問われるとも思います。

 

すみだ経済新聞:それでは話を商店街に戻します。墨田区商店街連合会の会長に就任された経緯について教えていただけますか。

山田会長:はい。当時、「すみだスタンプ」という地域ポイント制度があったんですが、管理がずさんで収支が合わず、混乱していました。誰かが立て直さないといけないという状況で、「やってくれ」と頼まれて、私が引き受けました。

すみだ経済新聞:そこから「すみだポイント」に切り替えられたのですね。

山田会長:アナログだった仕組みを、電子化してしっかり管理できるようにしました。「すみだポイント」として再スタートを切ることで、地域の信頼も徐々に戻ってきたと思います。


すみだ経済新聞
:その後のPayPayの導入は墨田区が23区で最初だったと聞いています。

山田会長:そうです。キャッシュレスを活用して地域の経済を回そうという流れの中で、PayPayの導入に踏み切りました。区内でのキャンペーンを通じて約90億円の消費がありました。小さなお店にも効果が出て、地域内でお金が回るようになったのが良かったですね。

すみだ経済新聞:今後の展望はありますか?

山田会長:いずれは「すみpay」のような、墨田独自の決済システムをつくれたらと考えています。地域の中でお金がよりしっかり循環する仕組みをつくっていきたい。そうすれば、地元に還元される力ももっと強くなるはずです。

すみだ経済新聞:墨田区商店街連合会会長としてのやりがいは、どのようなところにありますか?

山田会長:最初は会長になるつもりなんてなかったんです。でもやってみると、商店街がまとまって、人とのつながりがどんどん広がっていく。それが本当に大きな力になるんです。

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インタビュー:長尾 円
撮影:宮脇 恒

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