特集

すみだ経済新聞インタビュー
「すみだ活性化のキーパーソンが語る墨田と私」
山本亨 墨田区長(後編)

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【テーマ1:訪日外国人対策や未来に向けた取り組みについて教えてください】

―では、ちょっとここからは少し視点を変えて、スカイツリーがある墨田区は外国の方にも人気の町だと思うんですけれども、墨田区のインバウンド観光の取り組みで特に印象深かったプロジェクトやイベントがあればお聞かせください
山本区長 これね、前段としては僕が言うのもちょっと変な言い方になるけど、スカイツリーや北斎美術館があると、黙ってても外国人が来ていただける我々は恵まれた町なんですよね。だから、一つ一つの取り組みっていうよりも、来てもらう日常の中で臨機応変に、様々なことが行われている。

それから究極はリピーターだったり、「やっぱりあの町で印象よかったね」とおもてなしの方向だったり、和食が美味しかったり、街歩きが楽しかったりだとか。

やっぱりスカイツリーですね。世界一に登って、今度はもう1度夜に登ってみたいとかね、要はそういう観光都市としての位置づけを全体的にレベルアップしていくという中に、多分一つ一つの取り組みっていうのは、しっかり入ってくるんだと思います。

ホテルも増えてきたし、民泊も区民の皆さんから供用していただきながらでも、苦情みたいなものも正直あります。だけどそういう皆さんがやっぱり協力して、外国人の方々に、墨田区で良い思い出を作ってもらうというところを、しっかり今後も取り組んでいきたいですね。

取り組みの事例でいうと、外国人アンバサダーっていうのをやっています。これは各国の外国人の方をアンバサダーにしてYouTubeを撮ってもらい、それを母国向けに流してもらうという取り組みです。

―母国語で伝えてくれるってことですね

山本区長 これは結構反響もあったりしてるみたいなんだけど、やっぱりそういう取り組みなんかも必要だったりしますね。あとやっぱりね、おもてなしですよね。便利な町、それから親切な町、歩いててもストレス感じず楽しい町っていうのが理想です。そういうところを究極、今これからも目指していくことになると思います。

―いいですね。今ちょうどお話もありましたけれども墨田区の観光スポット、外国の方向けにその多言語で対応ができるような取り組みはありますか?

山本区長 例えば飲食店のメニューなんかも、やさしい日本語でストレスなくオーダー ができて間違いなく運ばれるっていうことだったり、「美味しいすみだ」っていう飲食店を紹介するウェブサイト、こんなのも用意したりしてますけど、どっちかというとやっぱり日常が大事であり、そこにいろんな主体の人たちがお店で受け入れることが大切だと思いますね。


それと北斎美術館も結構人が来てるんですけど、8割が外国人、日によっては9割が外国人の時もあります。やっぱり北斎っていうコンテンツが強いです。

―ヨーロッパの画家にもやっぱり北斎ブルーってすごく影響を与えたりしてますもんね

山本区長 もしかすると北斎というコンテンツや美術館、こうしたものをさらに活用していただく旅行業者さんとか、そういう方々も出てくると思います。取り組みとしてね、多分そういう流れが今後出てくるので、そこに我々として予算化して例えば何かを支援するということが、次なる課題としては必要だと思います。もう継続的にこれから出てくるとと思ってます。

何か一つ一つっていうよりも、全てがこうつながっていくようなイメージで取り組まれているってことですね。そんなに外国の方が来てるって予想以上でした。墨田区に訪れてくる外国人の方々が、またぜひ来たいなと思うような、そのためにどんな工夫されていることや今後力を入れていく取り組みがあれば教えてください

先ほどの公園活用の話だと最近、「ラテンアメリカフェスティバル」を隅田公園でやったんすけど、ここは本当に日本かって思うぐらい、外国人がちょっとボリュームを大きめにして踊ってました。

それからハワイアンなんかも、本場の先生が錦糸公園でハワイアンフェスティバルやったり、そういう公園を活用した外国人との触れ合いも増えています。

浅草の観光からスカイツリーに行く動線っていうのが、先ほど言った隅田公園、ミズマチなんですけど、ここの外国人の方の数といいますか、本当に想像以上の方々がいつも通過してくれるんですけど、やっぱりそこで何かイベントがあったりすると足を止めています。

それから花火ですね。

あとね、盆踊りも墨田区メッカになりつつあります。公園を利用したりしながら盆踊りが行われるんですけど、そこでも外国人も踊ってますね。一緒に輪に入って仲間に入ってね。

―もう自由に踊れる雰囲気がそこにあるってことですか。結構盆踊りって、なんか地元の方の輪になかなか入れないイメージがありますが

山本区長 墨田区は別格だと言いたいですね。8月にスカイツリーの広場でやりますけど、こんな世界があるんだっていうね。「スカイツリーの真下でこんなにみんなが踊っちゃうわけ」みたいな多分、そんなことが日常で行われるので期待してください。

―では続いての質問です。今、盆踊や公園でのイベントってありましたけども、墨田区の地元の人たちと外国からの皆さんが交流できるような場で、それをもっともっと増やすための何かアイディアとか秘策みたいなのはありますか

山本区長 ちょっと言うのを忘れてましたけど、墨田区観光協会は23区で一番最初に法人化されました。我々は法人化された観光協会という力強い観光推進団体を持っています。
観光協会がやっぱり流行をとらまえて、または外国人がこれだけ来ていただける町になってきたのが現段階。やっぱり観光協会と一緒になって、そこは墨田区の観光をしっかりと推進していきたい。さっきから言ってるように、継続ですね。

それからいろんな取り組みを含めて今後に展開していくということは、十分できます。情報発信なんかもしっかり強めていきながら、やっぱり墨田区に行くと何か面白いよっていうことですよね。それとさっき言ったおもてなしですね。ちょうど言われた通り、そこをもっと引き付ける、足を運んでいただく。そんなことをやっぱり工夫して、いいアイデアもやっていきたいなって思います。

あと墨田区は、人口が286,000人とどんどん増えているんですが、そのうちの16,000人が外国人の方に登録していただいてます。
錦糸町を中心に飲食の部分でも、外国の料理もいろいろラインナップされています。墨田区はそういう町でもあるので、多文化共生っていう取り組みであったり、生活であったり、こういうものをやっぱりちゃんと確立していきます。それによってまた観光客の方や、魅力を感じてもらう人が広がっていくイメージです。これも人つながりですよね。

―ありがとうございます。外国の方も墨田区を第2の故郷みたいに、墨田区民の皆さんと同じように愛してくれるような町に育っていくっていうのが、これから姿なのかなと思いました。


―続いて今後の墨田の未来に向けた取り組みがあればお教えください

山本区長 産業振興、スタートアップ支援とかですね。錦糸町にSICという施設が昨年秋に誕生しました。出来たばかりですけど、面白い施設です。ここは産業の世界で、「事業者がつながる、人がつながる」そういう施設でもあります。墨田の持ってるモノづくりの技術と、それから何かを墨田区でやってみたい、または地場産業で異業種に展開したい、こういう人たちが集まっています。社会に貢献できるような製品や産品を作ったり実証実験したり、そういう新たな何か産業が生まれる町なんですね。それを目指している。
だから、そういう産業振興の場面場面も結構ダイナミックで面白いと思います。

その1階~3階には「
アストロスケール」という、宇宙ゴミをなくしていくベンチャー企業が入ってくれています。

―それは面白いですね

山本区長 今はまだ実験中なんですけど、50メーターまで接近してその衛星を追いかけて、いよいよも捕獲をできるレベルに近づいてきました。

機能している衛星に燃料を運んでいって給油したり、例えば経年10年ぐらい稼働している宇宙ステーションがあったとき、さっき言った技術で50メートルまで近づいて、いろんな写真撮って「はいここを修理した方がいいですよ。ここ痛んでるんで危ないです」と。

―すごいですね。墨田区は実は宇宙にも、もう手が届いてるわけですね。でもそれって技術があってこそですもんね。伝統的な文化工芸品だけではなく地場産業の確かな技術力を生かした取り組みに墨田区も力を入れているってことなので、すごくいいですよね。
山本区長 多分アストロスケールはここから先、どんどん発展しそうですね。

あと多分1,000円札の裏側、これも絶対7月には大ヒットする。そのための、取り組みをしっかりとしていきたい思います。

―楽しそうです。わくわくしました。本日は本当に長い間貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。大変有意義な時間になりました。


―最後に、すみだ経済新聞という地域メディアに対して、今後の活動に期待されることなどお聞かせください。

山本区長 今日もこうやってね、いろんなお話を聞いていただけて、私としては、やっぱりお話をさしていただいてありがたい。感じていただいて、それをまたメディアを通して発信していただくっていうこの重要性というのをずっとこの間、感じておりましたのでぜひ良い記事もお願いしたいです。それから逆に悪い記事もあるんですよ。我々もちょっと失敗したなみたいなとこもあるんだけど、そういうものも正直に伝えていただいて、ぜひ墨田区がさらに魅力アップしてほしいですね。

結果的に、墨田区に住んでよかった、人にも紹介できる町と区民の皆さんに思ってもらいたい。それから発信の力で、観光客の方々にも憧れと共感を持ってもらう。墨田区って何か面白いねってあそこ行くとなんか楽しそうだねと、そのようにつながってほしいですね。


インタビュー:長尾 円
撮影:宮脇 恒

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