
受刑者が創作した絵や書、手紙を展示する「第3回刑務所アート展」が現在、京島劇場(墨田区京島3)を主会場に開催されている。主催はPrison Arts Connections(プリズン・アーツ・コネクションズ)。
同展は、刑務所で過ごす人たちや関わる人たちの「表現」を集め、塀の内と外をつなぐ対話を生み出す活動に取り組んでいる。創作や表現を通じて生まれるコミュニケーションから、作者と受け手双方の新たな気づきにつなげ、来場者が刑務所やその中で生きる人々に思いをはせるきっかけにしたいという。
これまで、小金井市で第1回、足立区で第2回を開催し、全国約30の刑務所から寄せられた250点以上の作品を延べ1000人以上が鑑賞した。回数を重ねるごとに出展作品は増え、3回目となる今回は応募点数が過去最高の196点に上る。
メイン会場の京島劇場を中心に、電気湯、サテライトキッチンなど複数会場で展示中。会期中、オープニングトークに続き、クロージングトークや各種イベントも予定する。
展示作品は、詩や短歌、俳句、川柳、エッセーのほか、絵画や書など、従来の「自由作品部門」が中心。会場中央には、16枚の絵をつなぎ合わせて1枚の大きな絵にした作品や、刑務所内での恨みや苦しみを滑稽な絵と言葉で表現した作品、独房でほほ笑む少女の絵など、創造性あふれる作品が並ぶ。
今回新たに設けた「あなたへ」のコーナーでは、震災で亡くした配偶者、昔の恋人、幼いわが子、自分を傷つけた相手など、匿名の「あなた」へつづった手紙を展示。来場者は手紙を手にとって読み、返事を書いて投函することもできる。もう一つのテーマ「刑務所の中からのお願い」では、外の人に実現してほしい「お願い」を紹介し、来場者が自由に意見交換できる場も用意する。
プリズン・アーツ・コネクションズ共同代表理事の鈴木悠平さんは「刑務所のような制約が大きい場所にいる人にも、表現したり伝えたりしたいことがある」と話す。自身も過去に犯した「間違い」に向けられた、ネット上でさまざまな人から厳しい声を向けられ苦しんだ経験を持つ。鈴木さんは「壁を取り除くのではなく、表現を通して壁を越えた先の風景が見えたりもする。壁の向こうの相手を思いやるきっかけになってほしい」と話す。
ワークショップ「あなたへの手紙 作品鑑賞&対話ワークショップ」(参加費1,000円、6月5日・6日各13時~15時30分、8日15時~17時30分)などを予定する。
開催時間は11時~19時。入場無料。6月14日まで。