
向島に秋の訪れを告げる「秋葉神社祭禮」が10月3日~5日、向島秋葉神社(墨田区向島4)で行われた。新調した本社大みこしの初渡御が話題を集め、3日間で延べ500人以上の人出でにぎわった。
今回の祭礼では、向島4丁目北町会少年部長の野村純平さんをはじめとする若手メンバーが中心となり、「向島の仲間が一つのみこしを担ぐ祭礼」を目指して準備を進めてきた。野村さんは「参加した多くの人は向島の人たち。2年前までは牛嶋神社の祭礼と同日開催で、それぞれの町会のみこしを担ぐため、一緒になることはなかったが、昨年から10月に日程をずらしたことで、向島の仲間が集結して一つのみこしを担げた。皆、最高の祭りだったと言っていた」と振り返る。
今回新調したみこしについて、野村さんは「みこしを新調すること自体、半世紀に一度あるかどうか。新しいみこしを担げるのはめったにない機会で、地元の人たちも強い思いを持って臨んでいた」と話す。貸しはんてんの申し込みもすぐに埋まり、「本当は参加したかったが、できなかった人も多かった」と振り返る。
初日の3日は町会役員が出席する式典を執り行い、祭礼が幕開け。4日は雨が降り、当初は人出が心配されたが、境内と周辺の道路には多くの来場者が詰めかけた。野村さんは「周辺4町会と2団体が協力して出店したブースも大盛況となり、まるで竹下通りのように真っすぐ歩けないほど。大人も子どもも笑顔であふれていた」と話す。
5日は晴天に恵まれ、青空の下で本社大みこしが町内を巡行。貸し出したはんてんや担ぎ手の数などから、野村さんは「300人を超えていた。休憩所での振る舞いや土産もすぐになくなるほどの盛況ぶりだった」と話す。
新しいみこしは軽量化され、担ぎやすさを重視した設計。「みこしが高かったという声が多かった。盛り上がると棒を押し上げる力が自然に出るのだと思う」と野村さん。女性の参加も多く、地域全体で盛り上がる祭礼となった。
秋葉神社は1289年の創建と伝わる古社。江戸時代には「神泉の松」や紅葉の名所として知られた。近年は若手を中心に「自分たちの祭礼を残したい」との機運が高まり、昨年から日程を10月に変更。今年は新みこしと新デザインのはんてん200着を準備し、例年にない規模での開催となった。
野村さんは「今年の祭礼は2日間とも大盛況だった。『全員がハッピーになる祭礼」を目指していくことで、地域を代表する祭礼になればうれしい」と話す。来年は、かつて使われていた中みこしの活用も検討していくという。