
日本財団ボランティアセンターによる出前授業「ボ学(ボランティアを学ぶ)」が10月17日、安田学園中学校(墨田区横網2)で開かれた。対象は3年の全生徒205人。
日本財団ボランティアセンターによる出前授業「ボ学(ボランティアを学ぶ)」
同プログラムは、ボランティア経験者や団体スタッフを講師に迎え、「人のため、そして自分のために行動する意義」を考える授業。通常は単発形式で行っているが、今回は安田学園からの要望により全4回で構成する特別授業となった。「ボ学」としても初の試みで、この日は、その3回目に当たった。
1回目の授業では大学生ボランティアが登壇し、被災地支援や海外活動など多様な体験を紹介。2回目は石川県珠洲市の社会福祉協議会とオンラインでつなぎ、能登半島地震の被災地支援について学んだ。3回目となる今回は6人前後のグループに分かれ、前2回で感じたことを振り返りながら意見を共有した。
講師の山本純也さんは「困っている友達がいたらどうする?」と問いかけ、「もし困っているのが友達ではなかったら?」と続けた。生徒からは「友達を助けたい」という意見が多く上がった一方で、知らない人に声をかけることにはためらいの声も聞かれた。
山本さんは「知らない人に声をかけて断られたらどうしようと思うのは自然なこと。さまざまな人と出会い、相互理解を深めることで視野が広がり、成長につながる」と話し、生徒たちは真剣に耳を傾けていた。
今回の授業は道徳教育の一環で行った。学年主任の及川厚教諭は「生徒たちにボランティアをもっと身近に感じてほしかった。通学中に困っている人へ声をかけるなど、具体的な行動につなげてほしい」と話す。安田学園には地域活動を行うインターアクトクラブがあるが、学校全体としての取り組みは少なく、今回の授業をきっかけに意識の変化を期待しているという。
授業を受けた生徒からは「以前は地元でボランティア活動をしていたが、また参加したくなった」「知らない人に声をかけるのは勇気がいるけれど、挑戦してみたい」などの感想が聞かれた。
最終回となる4回目の授業は11月14日に予定。身体障害者をゲストに迎え、「知らない人が困っていたらどうする?」のテーマをさらに深め、障害者との関わり方を学ぶという。及川教諭は「現場の話だけでなく運営面も学べたのが参考になった。次回は自分自身も障害者との接し方を学びたい」と期待を寄せる。