新春恒例行事「隅田川七福神めぐり」に向けた「宝舟づくり」が年末を前に、白鬚神社(墨田区東向島3)で進められている。七福神めぐりは元日に始まり、区内の寺社を巡りながら新年の幸せを願う行事として親しまれている。
隅田川七福神めぐりは、江戸文化年間に向島百花園に集った文化人たちによって創案されたとされ、初春の行楽行事として広がってきた。現在は、毘沙門天を祭る多聞寺(墨田5)、寿老神を祭る白鬚神社、福禄寿を祭る向島百花園(東向島3)、弁財天を祭る長命寺(向島5)、布袋尊を祭る弘福寺(向島5)、大国神と恵比寿神を祭る三囲神社(向島2)の6寺社を巡拝する。三囲神社が2神を祭ることから、七福神を6寺社で巡る構成となっている。
白鬚神社では、年末にかけて宝舟と呼ばれる縁起物作りが行われている。陶器製の舟に、柳箸で作られた帆柱や「寶」の印を施した帆を組み合わせ、巫女(みこ)が一つ一つ手作業で仕上げていく。糊付け後は十分な乾燥時間を確保する必要があり、組み立て前の準備や硬化の工程も重要な作業となる。舟の設計は、かつて隅田川を行き交った舟を模したもので、素朴で伝統的な姿が特徴。
完成した宝舟には、各寺社で授与される御分体が乗せられ、玄関や神棚に飾ることで福を招くとされている。白鬚神社では大みそかに清祓式(きよはらいしき)を行い、おはらいを受けた宝船と御分体を元日午前0時から頒布する。
近年は観光バスによる団体参拝が減少し、東京スカイツリー周辺を起点に徒歩で巡る個人参拝者が増えている。同神社の今井達宮司は「多聞寺からスカイツリー方面へ向かって巡拝するのがお勧め」と話し、回遊しやすい巡拝ルートを勧めている。
七福神めぐりの御朱印授与時間は9時~16時。1月7日まで。