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墨田区が民泊・ホテルの新条例 4月施行へ、旅館業は「常駐義務」明確化

新条例について説明する井上ひろき区議

新条例について説明する井上ひろき区議

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 12月に制定された旅館業の常駐義務化などを含む条例改正について、12月26日、井上ひろき区議(自民)に話を聞いた。改正条例は2026年4月1日に施行され、旅館業施設の常駐義務の明確化や、民泊に対する営業日制限・事前説明範囲の拡大などが盛り込まれている。対象は施行日以降の新規申請施設で、既存施設は適用外となる。

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 今回の改正は、旅館業法に基づく施設と、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく住宅宿泊事業の双方を対象としたもの。区内での施設増加に伴い、騒音やごみ出し、緊急時の連絡体制などに関する課題が顕在化していることを受け、体制面の実効性を高める狙いがある。

 旅館業法に関する条例改正では、営業中に施設内もしくは規則に定める場所へ従事者を常駐させる義務を明確化した。従事者は周辺の生活環境の確認などを担う。従事者が勤務するための設備設置も求められ、無人運営や遠隔監視のみを前提としたホテル運営は想定されていない。

 一方、民泊新法に基づく住宅宿泊事業では、常駐者がいない施設の運営曜日が制限される。常駐者が同一建物内または規則に定める場所などにいない場合、営業可能期間は金曜正午~日曜正午の週末に限定される。常駐者がいる施設は対象外となるが、年間180日の営業上限は従来通り維持される。

 事前説明の範囲も拡大し、従来の「おおむね10メートル」から半径20メートル以内の住民への説明を義務付けた。説明会の開催、戸別訪問による説明などの義務を課し、標識掲示や緊急連絡先の明示も強化。緊急時には30分以内に駆け付け可能な体制整備を求める。

 井上ひろき区議は、今回の改正について「この条例が本当によかったのかどうか判断するためには、苦情件数や違反事例などのエビデンスをしっかり集め、年度ごとに検証していくことが必要」と話す。その上で、「ただ、内容が毎年ころころ変わると住民と事業者が困ってしまう。改正する部分と変えない部分を明確にしながら運用していきたい」とも述べた。

 さらに「苦情として多いのは騒音とごみ出し。加えて、緊急連絡先に電話しても言葉が通じなかったり、そもそも電話に出てもらえなかったりする施設もある。これは条例の有無にかかわらず問題で、実効性のある体制整備と指導が必要」と強調する。

 条例改正には付帯決議が付され、施行後のデータ収集と年度ごとの検証が明記された。区は苦情の分類や違反事例の把握などのデータ整備を進め、必要に応じて検討を行う方針。

 改正の適用対象が新規施設に限られることから、既存施設によるトラブルが直ちに解消するわけではない課題も残る。一方で、事業者にとっては常駐体制や駆け付け体制の構築、人件費の増加など、運営面での見直しが求められる見通し。区は相談窓口や監視体制の強化を進めながら、年度ごとの検証結果を踏まえて運用改善を検討する考えという。

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