墨田区が4月1日、解体工事のプラットフォームを手がけるクラッソーネ(愛知県名古屋市)と空き家対策に関する連携協定を締結した。
同協定は、空き家の発生予防から除却までを一体的に進め、防災性の向上や住環境の改善につなげることを目的とするもの。都内では福生市、八王子市に次ぐ3例目で、23区では初の取り組みとなる。
今回の取り組みで区が掲げる「空き家解体支援」は、空き家所有者と解体業者をつなぐ仕組みを整えるもの。区の公式ホームページから同社が提供する「解体費用シミュレーター」を利用でき、物件の所在地や構造、延べ床面積などを入力することで、概算の解体費用や土地売却価格の試算結果をその場で確認できる。
併せて、管理コストや解体費用、売却価格などを整理した「空き家価値査定シート」も活用し、所有者が抱える心理的・経済的な負担の軽減を図る。こうした情報の可視化により、解体を検討する所有者と専門工事会社とのマッチングを促進する狙い。
全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高水準となっており、空き家対策は全国的な課題となっている。同社は全国200自治体と連携し、累計16万件以上の利用実績を持つ。
区内では、向島・曳舟・京島エリアを中心に木造住宅密集地域が広がっており、老朽化した空き家の放置が、地震時の倒壊や火災延焼のリスクとして課題となっている。相続や資金面の問題から解体に踏み切れないケースも多く、対策の加速が求められていた。
曳舟駅周辺では再開発が進む一方で、周辺地域の安全確保も重要なテーマとなっている。区は今回の取り組みにより、所有者が「まず費用を知る」ことで意思決定のハードルを下げ、老朽建築物の除却を後押しする。
山本亨墨田区長は「安全・安心なまちづくりの一環として空き家対策に取り組んできた。今回の協定により、解体を含めた相談体制の充実につながることを期待している。今後も対策を推進し、誰もが安心して暮らし続けられるまちの実現につなげたい」と話す。
区では今後、空き家所有者への周知を強化し、解体の検討を後押ししていく方針。