京成押上線八広駅に程近い「八広地域プラザ 吾嬬(あづま)の里」(墨田区八広4)で2月16日、「北斎漫画」に描かれた絵を手本にした「北斎ヨガ」の体験会が開かれた。
墨田区にゆかりの深い江戸時代の名絵師・葛飾北斎による「北斎漫画」は、人物・風俗・動植物から妖怪変化まで約4000図が描かれているスケッチ画集。地元の北斎担当学芸員の五味和之さんによると、「増えすぎた各地の弟子たちのために絵手本として発行したもので、北斎自ら『気の向くままに漫然と描いた画』と呼んだ」という。
考案者は、地元のアートスペース「yahiro8」(八広8)を拠点に活動しているコンテンポラリーダンサーでヨガインストラクターでもあるオカザキ恭和さん。「北斎漫画」をパラパラとめくっていた時に「無礼講」という絵を見つけ、「その体操とも武術の稽古ともつかない奇妙なスケッチが面白くて、試しにポーズをとってみたら身体がよく伸びて気持ちが良く、呼吸法を採り入れたらヨガそのものに思えてきた」という。
第1回体験会は、現在区が開設準備を進めている「すみだ北斎美術館」をサポートする「すみだと北斎 プロモーション実行委員会」との共催。会場の多目的ホールには男性も含む約30人が集まり盛況だった。参加者はスライドに映された絵を参考に、オカザキさんの指示する手順に従ってトータルで1時間近くヨガを楽しんだ。「絵の人物たちが実に生き生きと描かれているのは、北斎が今でいう接骨家に弟子入りして解剖学を学び、骨格など人体の構造を知り尽くしていたから。中には曲芸師並みのポーズもあるので、完全に絵に近づけようとするのではなく、無理せず自分のペースで痛・気持ちいい感覚で楽しんでもらえれば」とオカザキさん。
3月8日には「本所地域プラザBIG SHIP」(本所1)で第2回体験会を予定。参加費は500円。現在、メールなどで予約を受け付けている。