立志舎高等学校(墨田区太平2)野球部員たちが現在、毎朝の清掃活動に際し出勤などで道行く人々へあいさつの声掛けを行っている。
毎朝の地域清掃は同校野球部に代々受け継がれている朝練習の一環。これまでは黙々と清掃に取り組む部員たちの姿が錦糸町のいつもの朝の光景だったが、ゴールデンウィーク明けを境に、「おはようございます」と元気のいいあいさつが聞かれるようになった。
同校野球部監督の川崎善則さんは、朝のあいさつを始めたきっかけについて、「ゴールデンウィークの練習試合で勝てるはずの相手に勝てず悔しい思いをした。今年の部員は真面目な生徒が多く、こつこつとメニューをこなし実力を伸ばしているにもかかわらず結果が出せなかった。敗因を考え抜いた結果、部員たちに2つの課題を出した」と話す。
「1つ目は、やれることをきちんとやろうということ。日常生活でもグラウンドでも、当たり前のこと普通のことにしっかり取り組む。それが、試合で力を出すことにつながるのでは」と川崎さん。野球のトレーニングに加え、清掃活動にも真剣に取り組むよう指導し、ゴミの見逃しには「空振りしているぞ」と声を掛けながら、毎朝一緒に地域を回っているという。
「2つ目は、レベルアップしようということ。野球の技術・人間力、共に日々レベルアップしていこうと決めた。一度レベルアップして注目されると、今度はレベルを下げる事が難しくなる。昨日まであいさつできていた人が今日は黙っているとなれば、どうしてあいさつできなくなってしまったのだろうと思われる」と話す。
「いざ、実践してみて予想していなかった成果があった」とも。「あいさつをすると、思っていたよりも返事を返してくれる人がたくさんいた。部員たちも感じたと思う。あいさつを始めて1週間、メールでお褒めの言葉もいただくなど、すぐに反応が出たことにも驚いた。『アクションを起こせば、結果が現れてくる』というのは、部員たちにとって大切な経験になっている。監督なのでもちろん勝負にはこだわるが、それ以上に部活動の中で得るものがあれば」と目を細める。