地域関係者が錦糸町の未来像について語り合うイベント「錦糸町まちづくりシンポジウム」が2月2日、東武ホテルレバント東京(墨田区錦糸1)で行われた。
同シンポジウムでは、地下鉄8号線(有楽町線)の延伸計画に伴い、地域主体のまちづくり機運が高まる中、住民や関係者が集い、2040年の未来像について議論を交わした。
1901(明治34)年に創立された錦糸町の地元校・都立両国高校(江東橋1)管弦楽部が演奏を披露してイベントはスタート。オープニングで山本亨墨田区長は「昨年はJR錦糸町駅の開業130周年という節目。このような場を持てることを大変うれしく思う。錦糸町の再開発が進む中で、歴史ある文化や地域の魅力を継承しつつ、新たなまちづくりを進めていくことが重要」とあいさつした。
基調講演では、墨田区まちづくり調整課の大西俊明課長が、2030年代半ばの開業を目指す地下鉄8号線(豊洲-住吉間)の進捗(しんちょく)を報告。「延伸により錦糸町と湾岸エリアのアクセスが飛躍的に向上し、地域活性化の契機となることが期待されており、700件を超えるアンケート結果やワークショップでの意見を踏まえ、駅周辺の整備やオープンスペースの活用が重要課題」と話す。
パネルディスカッションには山本区長のほか、錦糸町地区暴力追放委員会の遠藤浩吉会長、錦糸町商店街振興組合の山田昇理事長、錦糸町を元気にする会の小笠原功会長、iU情報経営イノベーション専門職大学の久米信行教授が登壇。藤井さやか筑波大学准教授が進行役を務めた。
ディスカッションでは、2040年の錦糸町駅周辺の予想図をスライドで表示したほか、2024年秋に実施された錦糸堀公園の実証実験の事例も紹介。錦糸町を「住みやすく、訪れたくなる街」にするための具体策が議論された。
登壇者からは「安全・安心なまちづくりには地域住民の協力が不可欠。夜間パトロールの強化や飲食店のルール整備が求められる」「西口改札の復活や南北通路の開放により、駅周辺の回遊性を高めてほしい」などの意見が出たほか、「デジタル技術を活用し、地域情報の共有や住民参加を促す仕組みが必要」「公園やオープンスペースを活用し、誰もが気軽に集える環境を整えることが、地域の魅力向上につながる」などの提案も行われた。
イベント後半まで活発な意見が出る中、山本区長は「2040年に向けて、住んでいて良かったと思えるまちづくりを進めることが重要。商店街の活性化や地域住民の協力、行政との連携が欠かせない。錦糸町は唯一無二の街であり、歴史や文化を生かしながら、新たな住民や事業者と共存できる環境を整えていきたい」と締めくくり、イベントは終了した。