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京島「うちらの居間 分館」で「福島のいま展」 震災復興の今をアートで表現

福島沿岸部のアーティスト・イン・レジデンス(AIR)成果展「福島の『いま』を切りとる」

福島沿岸部のアーティスト・イン・レジデンス(AIR)成果展「福島の『いま』を切りとる」

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 京島の向島橘銀座商店街の入り口にある「うちらの居間 分館」(墨田区京島3)で現在、福島沿岸部AIR成果展「福島の『いま』を切りとる」が行われている。

分館の歴史

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 同施設は、2010(平成22)年にリノベーションされた古民家を活用した地域の交流拠点。2023年秋までは「シェアカフェ 分館」として、日替わり店長が実験的に飲食店を運営してきた。同館での経験を生かし、地域で新たに店を開いた元店長も多いという。2024年から場の維持を優先する「うちらの居間 分館」へと移行。有志(ヤモリ)が月額費を出し合い、イベントやワークショップなどを自由に企画・運営する場となった。

 今回の展示は、ヤモリの佐藤雅宣さんが企画。東日本大震災から14年を迎える福島沿岸部では、原発災害の影響で帰還率は10%を下回り、コミュニティーの喪失と復興の遅れが続く。展示では「復興の定義」「原子力災害の今」「地方の現状を東京の人に知ってもらう」ことをテーマに掲げる。

 展示にはレジデンス活動を行ったインスタレーションの高田優一郎さん、陶芸・コンテンポラリーの杉山仁彦さん、ミュージシャンの幹-miki-さんが、それぞれの視点で復興を表現する。

 高田さんは、福島の風景や人とのつながりから着想を得た彫刻作品を制作。「土地の文化や関係性が安心感や居心地の良さを生む」とし、作品にQRコードを添えて福島の今を伝える。杉山さんは「葛尾焼き」を発表。「器は単なる道具ではなく、郷土性や文化の継承でもある」とし、福島の土を用いた作品にQRコードを付け、地域の記憶を残す試みを行う。幹-miki-さんは「Close to You」を制作。「歌は祈りであり、寄り添う安全基地」と考え、震災によって帰ることが制限された故郷の悲しみを歌に込めた。

 佐藤さんは「今回のテーマ『Close to…』(=寄り添う)は、誰かや何かに寄り添うことを指している。震災時、私たちが最初にとった行動も『寄り添う』ことだった。復興の原点とも言えるこの思いの下に、3人のアーティストが福島沿岸部をリサーチし、それぞれの表現で作品を仕上げた。シンガー・ソングライター、陶芸作家、現代アーティストが三者三様の視点から、復興を見つめ直す機会になれば」と話す。

 開催時間は12時~19時。入場無料。2月9日まで。

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