
子どもたちが自ら国をつくり、経済や政治を体験するイベント「なつのあそび大学」が8月18日、千葉大学墨田サテライトキャンパス(墨田区文花1)で始まった。主催はNPO法人「あそび研究会」。
子どもたちが自ら国をつくり、経済や政治を体験するイベント「なつのあそび大学」
墨田区内の町工場から提供される端材を「すみだから(墨田の宝)」として活用する同イベント。布や革、金属、紙など多彩な素材から、子どもたちが自由に作品や遊びを生み出す。工場から出る素材をただ廃棄するのではなく、子どもたちの遊びに生かすことで「思いもよらない創造」が生まれるという。
初日は「建国」の日。当日は「議員」として立候補した5人が政策や運営方針を協議。子どもたちが意見を出し合い、「どうすれば国民(参加者)が満足できるか」をテーマに議論を重ねた。選挙や面接を経て選ばれた議員が今後の運営を担い、税の仕組みや公共事業、店舗運営などを通して国を動かしていく。
会場では「国民」となった子どもたちが、国の通貨「キッズ」を受け取り、仕事を探したり、起業準備に取りかかる姿が見られた。墨田区の町工場から提供された木材や布などの素材を活用し、店づくりに挑戦する子も。
運営を担う「Seki Design Lab」の關真由美さんは「ルールは一つ、『自分や友達を傷つけない』こと」と強調。「大人が先回りして正解を用意するのではなく、子どもが自分で考え、挑戦し、時には失敗から学べることが大事。だからこそ無料にして、誰でも参加できる『失敗できる場』でありたい」と話す。
開催の背景について、關さんは「久しぶりに大学に戻ったとき、学生たちが『これをやっていいですか?』と大人に確認してからでないと動けない様子が印象に残った。自分の学生時代とは大きく違って見えた。そのとき、もっと早い段階から『自分で決めて、挑戦して、その結果を引き受ける』経験を積む機会が必要ではないかと感じた。子どものうちに失敗を含めて体験できる場をつくりたい、という思いにつながっている」と話す。
今後は、議員による政策の実施や店舗運営、税の徴収といった活動を通じて「子どもの国」が運営される。19日には立候補した5人を含めた議員選挙が行われ、最大6人の議員を選出し、22日には子どもたち自身による総括を予定する。