
地域没入型のアートイベント「すみだ向島EXPO 6」が10月4日、墨田区北部の八島花エリア(八広、向島、京島、寺島、文花、立花など)で始まった。
初日夜にはTACHIBANA TERMINAL(墨田区京島3)でオープニングレセプションが開かれ、出展アーティストや地元関係者、地域住民ら50人を超える来場者でにぎわった。会場に入りきれない人も出るほどの盛況ぶりで、6回目の開幕を祝った。レセプションではスライドでイベント参加者を紹介し、MCが軽妙なトークで会場を盛り上げた。
同イベントは、古民家や町工場、商店など約50会場を舞台に、アートや建築、まちづくり、社会実験など多彩な表現を通じて地域との「接続」を目指す「まちなか博覧会」。2020年に始まり、今年で6回目を迎える。地域に根差した作家や団体から国際的に活動するアーティストまで約100組が参加し、展覧会やパフォーマンス、ワークショップなどを展開する。
会場となる京島エリアは、戦前からの長屋や路地が多く残り、手仕事や職住一体の暮らしが息づく町。今回も「町に近い進行」を掲げ、形式的な式典を省き、来場者と出展者が自由に語り合うスタイルで開幕した。雨天にもかかわらず「涼しくて過ごしやすい」との声も聞かれ、準備や安全面を支えた地元協力者への感謝も共有した。
今年のメインビジュアルは高橋学さんがデザイン。外部来訪者をピンク、地域住民をエメラルドグリーンで表現し、両者が交わり「わちゃわちゃ」と混ざり合う姿を象徴する。四角が広がり欠けていく形は、境界や壁を取り除き、ゆるやかにつながる地域像を示しているという。
期間中は、台湾アーティストが複数の古民家や店舗を舞台に展示やワークショップを行う「京島×台湾交流プロジェクト」や、「U25アートコンテスト」「防災アートプロジェクト2025大賞展」なども開催する。防災展では10月11日・23日に北条工務店(東向島)で交流企画を行い、地域とアートの対話を深める。
主催する八島花文化財団の後藤大輝さんは「地域の日常にアートが溶け込むことで、新たな発見や対話が生まれる。この1カ月を通じて、まちと人の関係がより豊かに広がっていけば」と話す。
開催時間は10時~18時。入場にはキラキラ橘商店街の金券付きパスポートが必要で、一般=3,500円、墨田区民・大学生=2,500円、高校生以下無料。会期は11月3日まで。