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墨田区、民泊を週末限定へ 条例可決で規制強化

墨田区役所

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 民泊の営業日を金曜正午~日曜正午に限定する「墨田区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例」が12月10日、墨田区議会で可決された。区内で増加する民泊に伴う生活環境の悪化を受け、営業期間を制限することで近隣住民の不安軽減を図る。施行は2026年4月を予定する。

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 条例は、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく区内の民泊を対象に、週末以外の営業を原則認めない内容。ただし、既に届出済みの住宅や施行日前に認められた事業者には適用しない。区は検討会議を複数回開き、標識掲示や周辺説明、苦情対応などの運営基準と併せて制度内容を整理してきた。

 区によると、住宅宿泊事業の届出数は11月14日時点で1950件。新宿区、札幌市、大阪市に次ぎ全国4番目の多さとなっている。浅草など観光地に隣接していることに加え、近隣区では早期から上乗せ規制を導入していた一方、墨田区はこれまで営業期間の制限を設けてこなかったことが理由に挙げられる。

 区民からは、小学校付近で撮影された通学児童の写真がSNSに投稿された事例や、私道奥の空き家が民泊化して騒音が発生したケースなど、日常生活への影響を訴える声が寄せられていた。民泊物件の増加による賃貸住宅の家賃上昇を指摘する不動産事業者もいる。

 一方、国でも民泊の適正化に向けた議論が進む。観光庁は無届民泊を排除するため、仲介サイトと民泊台帳を連携させる新たなシステムの運用を2026年秋に始める予定。各自治体が地域の実情に合わせて条例制定や立地規制をしやすくするため、ガイドラインの見直しも進めている。

 区と国の双方で規制強化が進む中、観光と生活環境の調和に向けた取り組みが今後本格化する。

 区は同日、部長級以上の幹部を招集した「民泊対策全庁調整会議」を開催し、条例施行に向けた対応方針を共有した。

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