病気や障害のある子どもと家族を対象にした「AYAインクルーシブ映画上映会」が1月25日、TOHOシネマズ錦糸町楽天地(墨田区江東橋4)で行われた。主催は特定非営利活動法人AYA(横浜市)。
同上映会は、医療的ケア児や障害のある子どもたちが、声を出したり医療機器の音が鳴ったりしても過度に周囲を気にせず映画を楽しめる環境づくりを目的に実施している取り組み。シアターを貸し切りにし、医師や看護師などの医療スタッフが常駐する体制を整えることで、映画館への来場に不安を抱えてきた家族でも安心して参加できるよう配慮している。
当日はディズニー映画「ズートピア2」(吹き替え版)を上映。参加者は約400人にのぼり、車椅子やバギーを利用する家族の姿も見られた。上映中に声を出しても大丈夫、途中で席を立っても大丈夫という環境の中、参加者はそれぞれのペースで鑑賞する様子が見られた。
同法人の二宮浩久さんは活動の意義について、「この上映会の大きな意味は、映画館で今まさに上映されている作品を、一般の上映と同じタイミングで体験できることにある」と話す。「後日あらためて特別上映会を行うのとは違い、リアルタイムで同じ作品を楽しめるからこそ、子どもたちにとっても喜びが大きく、体験としての価値がある」と続ける。
活動は2023年に静岡県での初上映を皮切りに始まり、2024年6月から本格的な全国展開を進めてきた。現在は全国各地で毎週日曜日に複数会場を同時開催する形で展開しており、1月末から2月初旬にかけて全47都道府県での開催達成を予定している。二宮さんは「墨田区では定期的に開催できており、全国的に見ても継続的な開催拠点になっている」と話す。
運営面でも改善を重ねてきたという。「受付管理を紙からiPadに切り替えたり、当日のキャンセル状況をリアルタイムで共有できる体制を整えたりと、裏方の仕組みを少しずつ整えてきた。参加者が安心して過ごすためには、運営側の精度も重要だと感じている」と振り返る。
東京楽天地 常務取締役の小笠原功さんは「映画館は本来、誰もが楽しめる場所であるべき。こうした取り組みを通じて、映画館の新しい役割や可能性を感じている。今後も季節ごとの開催に協力していきたい」と話す。
同法人では映画上映に加え、すみだ水族館(押上1)での貸し切り鑑賞体験(2025年12月)などにも取り組んできた。2月27日には「コニカミノルタプラネタリウム天空 in 東京」(押上1)での鑑賞体験も予定している。
今後は音楽鑑賞会の実施にも力を入れていく考えで、二宮さんは「墨田区には『すみだトリフォニーホール』という素晴らしい施設がある。一流の音楽に触れる機会を、子どもたちにも届けられるよう取り組んでいきたい」と意気込む。
二宮さんは「最終的には、特別な枠を設けなくても、一般の鑑賞の中で自然に一緒に楽しめる社会になることが目標」と話す。