特集

すみだ経済新聞インタビュー
「すみだ活性化のキーパーソンが語る墨田と私」
山本亨 墨田区長(中編)

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【テーマ2:区政の取り組みについて教えてください】

―ではここからは墨田区の魅力についていろいろお聞きします。墨田区の魅力をもし一言で表現するとしたら、どんな言葉が思い浮かびますでしょうか

山本区長 そうですね、なんと言ってもやっぱり「人 つながる町」。そこは人の優しさだったり、それから助け合ったり支え合ったりですかね。これらが本当に日常の中で、絆を持ちながら表現されている町だっていう、そこには優しさがありますよね。

―墨田区の魅力はもしかしたらそこに住む人なのかもしれないですね

山本区長 そうですね。それは私はよく言います。

―ありがとうございます。では次は墨田区の名産品や特産品をもっと全国的にアピールしていただきたいなと思うんですが、もし何か区長なりのユニークなアイディアがあれば教えていただけますか

山本区長 墨田区は歴史的に、伝統工芸だったり地場産業が盛んです。代表的なものでは、メリヤス、皮革、ガラスなど。これをふるさと納税の返礼品で皆さんにお知らせをしています。

例えば、ヒロカワ製靴の革靴のスコッチグレインは、ものすごい大ヒット返礼品ですね。結構すごい人気があります。そういう形で墨田ブランド戦略といいますか、そういう商品や製品を「墨田モダン」に認証をして世に発信しています。これはいい取り組みだと思います。

それから「すみだ まち処」という施設が、スカイツリーと隅田公園の間のミズマチにあリます。産品はそこで見ていただいて買っていただける場所を設けたりしています。それからPARCOやマルイや両国駅の「江戸NOREN」など、いろんなところで販売させていただいています。ただもっとやりたいぐらいですね。もっともっと広げていきたいなと思います。

―今後もっともっと全国にすみだモダン・すみだブランド戦略を情報発信させていくってことですね。では次の質問です。お気に入りのスポットを教えてください。マニアックなところでも結構です

山本区長 自分自身は時間もあんまりないんで散歩はしないですが、墨田区は隅田川と荒川に囲まれてるんですけど、川の風景は落ち着くので好きですね。川と隣接する公園は僕は墨田区の特徴だと思います。イベントができたり、その風景っていうのはすごく落ち着く風景でもあると。

一方でやっぱりスカイツリーも結構僕は好きで、ちょっと遠方に出て高速道路の帰路に見えてくると、「ああ帰ってきたな」と思います。やっぱりあのインパクトっていうかスカイツリーは我が町のシンボル的な存在ですね。周りもね、まだまだこれから町づくりが進んでいくんだけど、現状ソラマチっていう商業施設や街歩きは結構面白いと思います。

スカイツリーと川の風景、公園の風景っていうのは、墨田区の売りですね。とってもいいと思います。

―では、墨田区に住んでいる区民の皆さんがもっとすみだ愛を感じるための、何かユニークなプロジェクトや、これからやろうとしているようなことがあればお聞かせください

山本区長 実は僕が区長になって、前の区政と一番大きく変わったところは、情報発信だと思ってます。ちょうどその切り替えができたと今のところそう思ってるんですけど、その中でも広報の取り組みが、素晴らしいと思います。例えばコロナ対策なんかも、区として先進的にやれていましたが、それが広報にのって、テレビ局や新聞などによくつながっていったと思うんです。

―なるほど、いち早い対応や正確な情報だったり、安心できるような何かしらのサポート的なこと、そういったことを広報中心にされた訳ですね

山本区長 そうですね。情報発信に連動した広報の取り組み、それが大きく変わった点なんだけど、その中でも「フォトコンテスト」。これは私も感心するぐらいの取り組みです。先ほどのお気に入りのスポットっていうところにもつながってくるんだけど、インスタグラムで墨田区の風景を募集をしていて、皆さん本当にいい写真を撮って送ってくれるんです。

―絵になる場所が今のお話を伺ってるだけでもたくさんありそうですもんね。川、緑、人の姿、花火もちろんスカイツリーもそうですしね

送ってきていただいた写真が素晴らしい。つまり逆に皆さんに墨田の魅力を広めていただいてるんですね。そうすることで、すみだファンが増えて、自分も撮って送ろうかっていうね。そういう取り組みが実は地味でもあるのだけど、浸透してきてるんで手応えは感じています。
62年住んでる僕があんまり見たことないとか、こうやって撮れるんだっていうものを、人から僕に伝わってくるんですよ。そうすると普通に見た人は、これいいですねって多分なるんだと思う。すごく広がりがある取り組みだと思います。

―ありがとうございます。では他の自治体から学んだことや、もし逆に墨田区が他の自治体にぜひ教えてあげたいと思うような成功事例があれば教えてください

山本区長 あんまり自分で自分のやってることを成功事例とは言いにくいんですけど(笑)

継続は力なりみたいなところがあって、自分で自信あるというかいいなと思うのが、タウンミーティングです。これはいろんな区民の方を対象にして、年に3回区長が自ら開いて、その方々からいろんな意見をもらって、対話をさせていただいています。褒めていただいたり、こうやった方がいいよって言われたりね。

タウンミーティングは実はもう9年継続してるんですね。そこからいただけるヒント、これを必ず区政に活かせるっていう意味では、この取り組みはこれからもしっかり続けていきたいと思っています。

さっきお話したように、いろんなイベントに顔を出したり、この間の100人カイギだったり、やっぱりそういうところにも参加をして区民の皆さんと接する、それから自分の思ってることを話す。自分はこういう人間だって披露する、そういうことがやっぱりとても大事なんだと思っています。


―なるほど、素晴らしい取り組みですね。他にもありますか?
ふるさと納税ですね。他の区では、他の地域のふるさと納税に対して100億円近く流出していたりもししてるんですね。墨田区ではスカイツリーの上でディナーを食べるとかユニークな返礼品もある。それ以外だと、さっきご紹介した革靴、それからガラス製品などを返礼品を地場の産業の製品でラインナップしています。区のシンボルの葛飾北斎に特化もしている。

実は墨田区は23区で5年連続1位です。
5年連続で10億円いただいてるんですね。出ていく方ももちろんあるんですけど、そのいただいたものを貯めていて、例えば区立のすみだ北斎美術館の修繕に今後使うとかも。

―区民の人たちがその後恩恵を受けられるような、施設に対して納税していただいたものが活用されてるわけですよね。いい循環ができるということですね。
山本区長 そうですね。一方でさっきお話しした区内産品がしっかり認知でき発信でき、手に取ってもらう。そこから墨田区のPRができ、北斎美術館のPRができるんで、修繕の資金や今後の文化行事に使わせていただく形です。

―特に伝統工芸品は、継者問題などいろんな問題に発展するじゃないですか。こういう取り組みを区が中心になってやってくれるっていうのは働く人たちにとってもいいですよね。未来につながる取り組みですね。

山本区長 北斎に関しては今度の7月3日に出る新しい千円札の裏側は、葛飾北斎の富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)」を描いています。それをテーマに北斎美術館で展覧会をやりますね。「グレイトウェーブ・インパクト」と銘打って、2ヶ月間ばっちりやりますから。取り組みがつながってるんですね。

区立美術館って、なかなか運営していくのが大変。いろんな税金の使い道の中で、負担だとか、そんなの持たなくてもいいのに、みたいなことも言われかねないんですけどね。
やっぱり我々、葛飾北斎は墨田区の象徴なんですよ。1760年に生まれたすごい偉大な方で、我々のルーツなんですね。90年間墨田区にいてくれた人だから。

だからそういうルーツを検証しながら美術館を建てて、だから取り組みとして、やっぱり美術館運営という意味でも、今のところは成功かなと思います。



インタビュー:長尾 円
撮影:宮脇 恒

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