トピック9: NPO法人設立と運営
すみだ経済新聞:NPO法人「下町コミュニティ」と「育縁」を立ち上げた経緯について教えてください。
菊池さん:「下町コミュニティ」を設立したのは、地域の人々が自由に参加でき、誰もが貢献できる場を作りたいと思ったからです。そして、非営利で活動することで、行政や他の団体からの支援を受けやすくする狙いもありました。一方、「育縁」は、子どもたちがものづくりや地域活動を通じて学べる場を提供するために立ち上げました。両者ともNPO法人として運営することで、より広い信頼を得られると考えたんです。
すみだ経済新聞:どちらも地域に根差した素晴らしい取り組みですね。設立に際して、どのような苦労がありましたか?
菊池さん:とにかく時間がかかりました。「育縁」は比較的スムーズに進みましたが、「下町コミュニティ」は7ヶ月もかかりました。特に、「理事長が6人」という体制にしたことで、前例がないと指摘され、内閣府とのやり取りが大変でした。通常、理事長は1人が基本ですが、私たちは全員に平等な権限を与えたかったんです。
すみだ経済新聞:6人の理事長制度にこだわった理由は何ですか?
菊池さん:それぞれの理事が対外的に「代表」として対応できる体制にするためです。一人のリーダーだけが目立つのではなく、全員が主体的に動けるようにしたかったんです。また、外部から見た時にも、「誰が決定権を持っているのか」が明確になることで、信頼性が高まると考えました。
すみだ経済新聞:運営資金や助成金についてはどのように対応していますか?
菊池さん:助成金の申請が鍵ですね。ただし、申請には膨大な準備が必要で、メンバーの負担も大きいです。また、NPO法人が増え、競争も激化しているため、寄付や助成金をどう集めるかが大きな課題です。資金が確保できれば、地域活動をさらに充実させられるのですが。
トピック10: SNSを活用した地域活性化の取り組み
すみだ経済新聞:SNSを活用した地域活性化について、どのような取り組みを行っているのか教えてください。
菊池さん:主にFacebookを活用しています。地域のイベント情報や公園紹介、祭りの投稿などを行い、住民同士が繋がれる場を提供しています。また、投稿内容を工夫して特定のターゲットに響くようにしています。たとえば、子育て世代向けの情報や、地域に興味を持ってもらうためのビジュアル重視の投稿などですね。
すみだ経済新聞:公園や祭りの投稿は、どのような反響がありますか?
菊池さん:公園紹介では、子育て世代の親御さんたちから特に好評です。「こんな公園があったんですね」といった声が多く、実際に訪れる人も増えています。祭りの投稿では年配層からの関心が高く、YouTubeに動画をアップすると、再生回数の65%が45歳以上ということもあります。こういったデータを活かして投稿を最適化しています。
すみだ経済新聞:Facebook以外のSNSはどのように活用していますか?
菊池さん:InstagramやX(旧Twitter)、TikTokも試していますが、それぞれ特性が異なります。Instagramはビジュアル重視なので、地域の魅力を視覚的に伝えるのに適しています。一方、Xは拡散力がありますが、直接的な行動につながりにくい部分も。TikTokはバズる可能性がある反面、継続的なフォロワー獲得には課題があります。
すみだ経済新聞:SNSを活用することで、地域にどのような影響を与えたいと考えていますか?
菊池さん:SNSを使って、地域の人々が情報を得るだけでなく、投稿そのものを楽しめる場にしたいです。そして、その活動を通じてリアルなイベントや活動に参加するきっかけを作り、地域全体の活性化につなげたいですね。
すみだ経済新聞:具体的に面白い事例があれば教えてください。
菊池さん:ある時、地域の犬に特化した投稿を行ったら、「いいね」は少なくてもリンククリックが多いことに気づきました。それをもとに犬好きのコミュニティ向けに投稿を工夫したところ、さらに反応が増えました。また、Facebookで公園紹介を投稿した際、たった3日で2500クリックを記録するなど、SNSの力を改めて実感しました。
すみだ経済新聞:SNS活用の重要性がよく伝わってきます。これからも地域密着型の発信を期待しています。
菊池さん:ありがとうございます。引き続き、地域に寄り添った情報発信を続けていきます。
トピック11: 今後の展望と課題
すみだ経済新聞:今後の地域活動やNPO運営について、どのような展望をお持ちですか?
菊池さん:地域住民が自由に参加できる場をもっと増やしていきたいです。例えば、街歩きイベントや写真撮影ツアー、食事会など、誰でも気軽に楽しめる機会を提供したいですね。また、サイトやSNSを通じて地域の魅力を発信しながら、参加者同士がリアルでつながれる環境を作っていきたいと思っています。
すみだ経済新聞:課題として挙げられる点は何でしょうか?
菊池さん:やはり資金面が一番の課題です。助成金や寄付を集めるための仕組みが必要ですが、その準備には多くの労力がかかります。また、活動を推進するメンバーが足りない点も大きな課題です。リーダーシップを取る人材の育成が急務だと感じています。
すみだ経済新聞:資金面以外ではどのような課題がありますか?
菊池さん:活動を進める上で、どうしても主導する人が限られてしまう点ですね。一人に負担が集中すると進行が遅れますし、全員が主体的に動ける体制を整える必要があります。それを解決するためには、役割分担とサポート体制の構築が欠かせません。
すみだ経済新聞:NPOを通じて解決したい社会課題は何ですか?
菊池さん:都会では人と人との繋がりが希薄で、孤独を感じている人が多いと思います。地域コミュニティを通じて、孤立することなく、街の一員として安心して暮らせる環境を作りたいです。また、地域全体で支え合う文化を育てることで、社会全体の幸福度を高めることが目標です。
すみだ経済新聞:その目標を達成するために、どのように取り組んでいきますか?
菊池さん:非営利団体として活動することで、営利目的ではない信頼を得やすくなります。その信頼を活かして、住民や地元企業が安心して参加できる場を提供します。また、行政や企業との連携を深め、資金やリソースを確保して持続可能な活動を続けていきたいです。
トピック12: すみだ経済新聞への期待
すみだ経済新聞:すみだ経済新聞が地域に果たす役割について、どのように感じていますか?
菊池さん:すみだ経済新聞は、地域密着型のメディアとして本当に重要だと思います。これまで、地域のさまざまな活動やイベントにスポットライトを当ててきました。そのおかげで、多くの人が地域の魅力や活動に気づき、興味を持つようになったと感じます。特に大手メディアでは拾いきれない「リアルな地域の声」を取り上げてくれるのが素晴らしいです。
すみだ経済新聞:すみだ経済新聞の強みとして、特にどのような点を評価していますか?
菊池さん:やはり、地域住民に寄り添った視点ですね。読者が「自分たちのことだ」と感じられる記事が多く、非常に親近感があります。また、取り上げるトピックも幅広く、住民同士の新たな繋がりを生むきっかけになっています。地域の人々にとって、「読む価値がある」と思える内容が詰まっているのが強みです。
すみだ経済新聞:今後、すみだ経済新聞に期待する取り組みはありますか?
菊池さん:これからも、地域の活動を深く掘り下げて紹介してほしいと思います。特に、地域の小さな声や新たに始まる取り組みを、いち早く取り上げていただけると嬉しいですね。また、その活動の背景や関わる人々の思いなどを記事にしてもらえると、読者にとっての理解や共感がより深まると思います。
すみだ経済新聞:さらに、すみだ経済新聞に求めるものは何ですか?
菊池さん:読者や地域住民からの声をもっと反映した記事作りをしてほしいですね。双方向のメディアとして、住民とともに歩む存在であってほしいです。それによって、すみだ経済新聞が「地域のためのメディア」というイメージがさらに強まり、信頼度が高まると思います。
すみだ経済新聞:最後に、すみだ経済新聞へのメッセージをお願いします。
菊池さん:すみだ経済新聞は、すでに地域で大きな役割を果たしていますが、これからさらに「地域で何かを始めるなら、すみだ経済新聞が応援してくれる」という信頼感を深めていってほしいです。墨田区が地域メディアと共に発展していく未来を期待しています。引き続き応援しています!
すみだ経済新聞:ありがとうございました!とても勉強になりましたし、地域に対する熱い思いを感じました。
菊池さん:こちらこそ、ありがとうございます。ぜひこの記事が地域の皆さんに役立つものになれば嬉しいです。
インタビュー:長尾 円
撮影:宮脇 恒
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