米ボストン・バークリー音楽大学教授でサックス奏者のニール・レオナルドさんと、墨田区京島在住でのピアニスト・小野龍一さんが共演する音楽セッション「River Rhythm -Sumida ×Boston Sound Performance」が1月11日、カフェ「off COFFEE」(墨田区文花3)で行われた。主催は「KAB Library and Residency」。
レオナルドさんは電子音楽の黎明(れいめい)期をけん引したジョン・ケージさんに師事。名門バークリー音楽大学では30年以上、多くの音楽家を育ててきた。作品は米カーネギーホールや世界中の美術館で演奏・展示されるなど、幅広く支持されている。
レオナルドさんの今回の訪日は、京島でアーティスト・イン・レジデンス「KAB Library and Residency」を運営する嘉藤笑子さんとの縁から実現した。2週間の滞在中、墨田区や横浜でさまざまな交流と演奏会を行った。
同カフェはこれまで、東京芸術大学出身の作曲家・小野龍一さんやバイオリン奏者・北澤華蓮さんらに会場として提供していた縁から、今回もセッションが実現した。
当日は観客20人が見守る中、レオナルドさんのサックスのソロ演奏でセッションがスタート。サックスの音を少しずつサウンドマシンに読み込ませて加工し、その音にまた生のサックスの音を重ねていくというテクニックを披露した。続いて登場した小野龍一さんは、電子ピアノでニールさんの旋律をたどりながら演奏。北澤華蓮さんは、バイオリンの音の可能性を探るように多彩な音色を弾き分け、その後の3人のセッションではジャズのアドリブセッションのような演奏が繰り広げられ、会場は熱気に包まれた。
レオナルドさんは「このカフェの環境と踏切や自動車の行き交う音が一体となり、ここでしかできない演奏になった」と振り返る。
会場には、バークリー音大の32年前の教え子・中村浩久さんや7年前の弟子である鶴田さくらさんも駆け付け、再会を喜んだ。電子音楽の作曲家としてデビュー後、アルバムを発表、有名ブランドのコレクションの音楽監督として活躍する鶴田さんは活動を報告した。