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墨田・牛嶋神社で映画「黒の牛」映像展 劇場版は来年1月公開

牛嶋神社・神楽殿に設置されたLEDスクリーンに映る映画『黒の牛』のシーンと蔦哲一朗監督

牛嶋神社・神楽殿に設置されたLEDスクリーンに映る映画『黒の牛』のシーンと蔦哲一朗監督

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 映画『黒の牛』の特別展「FILM INSTALLATION AT USHIJIMA SHRINE」が11月7日、牛嶋神社(墨田区向島1)の神楽殿で始まった。

田畑を耕す男と牛の姿。フィルムで撮影された重厚な映像が神楽殿を包む

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 境内に黒牛像が置かれ、古くから「撫牛(なでうし)」の信仰で知られる牛嶋神社。作品に登場する黒い牛との象徴性に共鳴した蔦哲一朗監督が上映を打診し、神社側の協力を得て今回の上映が実現した。神楽殿で映画作品を常設上映するのは初の取り組みという。

 禅の教え「十牛図(じゅうぎゅうず)」に着想を得た映像詩を、LEDモニターと日本家屋が融合した新しい「障壁画メディアアート」として常設上映する試み。上映時間は15分。

 監督は『祖谷物語 おくのひと』で国内外から注目を集めた蔦哲一朗さん。徳島県三好市池田町出身で、祖父は甲子園で名勝負を重ねた池田高校野球部の名監督・蔦文也さん。蔦監督は「子どものころ遊んだ山や川への感謝を込めた。自然が奪われていく現実の中で、人はどこまで自然と共に生きられるのかを問いたかった」と話す。

 『黒の牛』は日本・台湾・アメリカの合作による長編映画で、構想から完成まで8年を費やした。全編をフィルムで撮影し、日本の劇映画として初めて70ミリフィルムを一部使用。主演は台湾の名優リー・カンションさん、禅僧役を田中泯さんが務め、音楽には生前に本作への参加を表明していた坂本龍一さんの楽曲を採用した。

 物語は、山を追われ放浪する狩猟民の男が、山中で神々しい黒い牛と出会い、共に暮らすうちに次第に心を通わせていくというもの。言葉よりも「間」や「呼吸」で描かれる映像詩として、自然と人間の関係を問いかける。

 『黒の牛』は2024年の東京国際映画祭「アジアの未来」部門でプレミア上映され、翌2025年の香港国際映画祭では最高賞「Firebird Award」を受賞。劇場版は2026年1月23日に全国で公開される。

 上映時間は7時~22時。2026年2月28日まで。

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