向島の一軒家カフェ「ikkA(イッカ)」(墨田区向島3)1階のカフェギャラリーで現在、車いすアーティスト・夢輝(ゆめき)さんの作品展「愛を運ぶクジラ」が開かれている。色彩豊かな作品を通して、「夢を輝かせる」という自身の思いを表現する。
夢輝さんが絵を描き始めたのは2008(平成20)年。病気で入院していた際、母親が持ってきてくれたスケッチブックをきっかけに制作を始めた。描くことは自身にとって癒やしとなり、次第に作品を通して夢や希望を届けたいと考えるようになったという。
日々の生活の中で見たり感じたりしたことをモチーフにした作品が多く、細やかな曼荼羅(まんだら)模様や、パステルアートインストラクターの資格を生かした柔らかな色使いが特徴。作品にはイルカや花、幾何学模様などが描かれ、穏やかで前向きな空気をまとっている。
2020年には敗血症で余命宣告を受けたが、自分自身を生きようと決意。国際平和美術展に出展された自身の作品を見るため、クラウドファンディングを通じてベトナムを訪れる夢もかなえた。現地では、長年抱いていたイルカに触れる体験も実現させたという。
夢輝さんは「病気になったからこそ生み出せた作品や、人との出会い、活動の場がある。自分は夢を輝かせることができた。作品や自分の姿を見た人にも、そう感じてもらえたら」と話す。
今回の展示は、一般社団法人「FUKU・WARAI」が運営する就労継続支援B型事業所「アトリエニット」の活動の一環で開いている。同事業所はアートを通じて社会と福祉をつなぐ取り組みを行っており、夢輝さんもその活動の中で制作を続けている。
営業時間は12時~18時。火曜・水曜定休。カフェ利用で観覧可。12月26日まで。