すみだトリフォニーホール(墨田区錦糸1)を本拠地とする「新日本フィルハーモニー交響楽団」の定期演奏会を柱とする2013-2012シーズンが開幕した。
2003年から10年にわたって音楽監督を務めてきたクリスティアン・アルミンクさんが今年8月に退任したことを受け、今シーズンからは新体制でスタート。新たにドイツ人指揮者のインゴ・メッツマッハーさんを「Conductor in Residence」に迎え、2010年から「Music Partner of NJP」を務める、英国生まれの世界的人気指揮者のダニエル・ハーディングさんと2人で、8プログラム12公演(1シーズンの全定期演奏会の半分に相当)の指揮を担当する。
1957年ドイツ・ハノーファー生まれのメッツマッハ-さんは、現代音楽を含む幅広いレパートリーと革新的なプログラミングで注目を集めるマエストロで、2007年秋から2010年夏までベルリン・ドイツ交響楽団の音楽監督を務めたほか、ベルリン・フィルやウィーン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ボストン響など、欧米の主要オーケストラへの客演も多い。新日本フィルとは2010年11月の定期演奏会で初共演し、その翌年の10月に早くも再登場し聴衆の絶大な支持を得た。
9月6日・7日に同ホールで行われた就任披露公演はメッツマッハ-さんの強い希望で実現した、ワーグナー・イヤーにささげる「ワルキューレ」第1幕(演奏会形式)とR.シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかくかたりき」で今シーズンの幕開けを飾り、いずれも成功を収めた。14日にはムソルグスキー/スクリャービン/チャイコフスキーから成るプログラムで「サントリーホール定期」のオープニングを飾る予定。
一方のハーディングさんは11月8日・9日、得意とするマーラーの交響曲第7番「夜の歌」ですみだトリフォニーに登場するほか、今シーズンでは同ホールとサントリーホールを会場に3回にわたってブラームスの交響曲全曲に取り組む予定。
13日には新体制について記者発表会が開かれ、メッツマッハ-さんによる就任会見が行われたほか、ハーディングさんさも登壇し質疑応答が行われた。「2人で一緒に新日本フィルに関わることができてうれしい。2人ともオーケストラをこき使うタイプの指揮者なので、ますますハードワークになると思うが、受け身の姿勢ではなく音楽の深いところまでずかずかと入り込んで何かをつかむような演奏を期待したい」とハーディングさん。メッツマッハ-さんは「細部をおろそかにせず、小さいステップを積み重ねて、焦らずにいい仕事をじっくりと続けていきたい」と話した。