向島・鳩の街通り商店街で4月7日に井戸端古本市イベント「ふるほん日和」が開かれ、古書や雑貨の個性派マーケットと共に、リトルプレス「しのそのへ」が話題を呼んだ。
「第5回 ふるほん日和」の様子 - 向島らしく着物姿の女性も。
同イベントは春と秋に定期開催しており今回が5回目。一般募集した古本好きのアマチュアからプロの古書店主らが集まり、商店街各所に半畳分のスペースを借りて出店。古本やLPレコードだけでなく、ポストカードや栞(しおり)などの紙もの雑貨や手作りのファッション小物、アート作品などもそろえた。当日は紙芝居の上演や、会場近くで落語の寄席なども開かれ、好天に恵まれたこともあり、前回を上回る人出でにぎわいを見せた。
特に注目を集めたのは、プレ・イベント「曳舟ブックマルシェ」店頭でも問い合わせの多かったリトルプレス「しのそのへ」を販売するブース。同誌は文章と写真を担当する立松カナコさんとイラストのいなばちえみさんとで制作する28ページの手作りミニコミ誌。「市の園へ行きましょう」をコンセプトに、各県に存在する「市営」施設ばかりを独自の視点でガイドする、私的な旅日記の体裁を取る。
昨年9月に発行された創刊号「群馬県」では、同誌を始めるきっかけになったという、無料動物園と遊園地から成る桐生が岡公園(桐生市)や前橋文学館(前橋市)、富岡製糸場(富岡市)などを紹介。4月発行の第2号「千葉県」では伊能忠敬記念館(香取市)、千葉市科学館(千葉市)、成田市場(成田市)などを採り上げた。いずれも、2人が実際に現地に足を運び取材して書いた。
立松さんは「私にとっては見知らぬ街も、そこに住む人にとってはふるさと。その中で市営施設はきっと地元の人にとっても身近な観光スポットであるはず。そんな愛すべき施設を訪れることで、その土地の印象が決まり、旅の思い出が深まる」と雑誌作りの魅力を話す。
杉並区から「ふるほん日和」をのぞきに来たという30代の女性は同誌を手に取り、「2色刷とレトロながらも誌面ごとにカラフルで、丁寧な作りがすてき。ゆるいイラストやテキスト、写真のコラージュもかわいい。他の県のものもぜひ読んでみたい」と購入した。
「もともと旅が好きなのでライフワークとして続けたい。47都道府県を制覇したい」と立松さん。同商店街のシェアショップ5号室「甘夏書店」(毎月22~28日に営業)や「古書ますく堂」(豊島区)などで取り扱うほか、オンライ書店でも販売。メールオーダーも受け付けている。1部400円(送料別)。