特集

すみだ経済新聞インタビュー
「すみだ活性化のキーパーソンが語る墨田と私」
山口亮さん(中編)

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【テーマ3:墨田区100人カイギついて教えてください】


次は発起人をされた「墨田区100人カイギ」について、やろうと思った動機についてお聞かせください

元々僕自身、台東区の100人カイギの立ち上げにちょっと関わっていました。100人カイギを始めた高島さんは、元々港区でスタートしていますが、高島さんや港区で始めたメンバーの中に知り合いがいたんですね。だから100人カイギ自体はなじみがあったんです。

ただ僕自身、自分が始める気はあまりなかったんですよ。墨田は実は以前に一度、他のメンバーで100人カイギを立ち上げる計画があったんです。それも知っていて墨田区に引っ越してくるときに「そういえばあれどうなったの?」って連絡したら、「空中分解しちゃいました」と聞いたので、気に留めていた程度でした。

―それがやることになった

2年前、ここに来てちょうど2カ月ぐらい経った頃、中高生の居場所づくりについて考えていたんですけど、この住み開きという活動は、おじさんが「自分のうちに遊びにおいで」と言っている感じになるので、はたから見るとめっちゃ怪しいなっていうことにようやく気がつき、それはハードルが高いなと思ったんですね。

「もう少し地域で信用を得る必要があるな~」と考えたとき、「そうだ100人カイギをやろう」と思いました。

イベントの帰り道だったんですけど、その場で高島さんに連絡して「墨田は空いているの?」って聞いたら「ぜひやって」という回答だったので。そのときまだ僕1人しかいなかったんですけど、3人以上で始めるルールがあるので、「3人集めて連絡するね」っていう感じで。

―立ち上げ時に参加した方は墨田区のつながりですか?

1人は中山淳雄くんという墨田に住んでいる人で、うちのお披露目のときにも来た以前からの知り合いです。もう1人は墨田区の講座で出会った大学生の林光太郎くんです。僕、墨田区に引っ越した当日に瀧口幸恵さんの講座に行っていて、そこで出会いました。他にも何人か声かけてたんですけど「ちょっと忙しい」みたいな人が多くて、その時に知り合ったばかりの林光太郎くんを思い出して、その3人で始めました。

―3人で始めるにあたって、台東区や港区のご縁から、おおよそのガイドラインはあった訳ですか?

そうですね。100人カイギ自体は、いくつかの地域で参加していたので内容はわかっていました。ただやっぱり、僕が墨田に来たばかりでつながりがそんなになかったから、2人の関係でゲストを呼んでもらいました。

―そう、初期にゲストをどうやって呼んでいたのかなって思っていました

林光太郎くんがね、またすごいスーパー大学生なんですよ。もう地域のいろんな活動、特に京島近辺で関わっていたので、そのネットワークに助けられました。

―記念すべき第1回目のゲスト5名はどんな方でしたか?

1人目は僕のパートナーの森下友紀です。引っ越してきたばっかりですけど、森下は一応、パラリンピックにも出ているので有名人なので登壇してもらいました。あと福田一太さん。僕が以前、コロナ前に墨田で活動しようとしたときに、東武鉄道から区役所に出向で来ていた人で、今は東武に戻っていましたけども。あとは「とんかつファイター」の猪俣有佐さんと、曳舟駅前に「やっちゃば」っていう朝市があるんですけど、それを立ち上げた松浦伸也さん、最後は電気湯という銭湯の大久保勝仁さん。

―初回だけでも、ゲストの方がすごい多彩です。先日、20回目を迎えて解散されましたが、今後どんな感じでつながっていくんでしょうか?

一応、Facebookのグループとして、100人カイギ参加者だけ入ってもらっているグループがあるので、そこは継続していきます。あとは先日立ち上げた「墨田区まち活カイギ」ですね。そちらの方は、みんなで「すみだの今後の活動を考えていこう」みたいな感じでやっています。

―継続というわけではなく、形を変えるイメージ?

そうですね、別に今までのやり方を踏襲しているわけではなくて、また違う形で「今後はどういう活動をしていこう」と、みんなで考える感じですね。

まち活カイギは、そこ自体で何かやろうという活動ではなくて、そこから新しい活動をどんどん生み出していって、「みんなで自由にやってくださいね」って感じです。そこは本当に最初のきっかけづくりっていうんですかね。

―100人カイギでは、いろんなスピーカーの方がいらっしゃいましたよね。それこそすごい数の参加者の方とお会いしたと思うんですけど、この人すごいな、面白いなと思った人やエピソードをご紹介いただけますか?

前半はスライドを使ってプレゼンテーションする人が多かったんですけど、後半になると個性的な人が増えてきました。一番面白かったのは、小畑亮吾さんっていうヴァイオリニスト。京島には毎年10月に1カ月間やる「すみだ向島EXPO」っていうアートフェスがあって、毎晩6時になると時報の代わりに小畑さんがバイオリンを弾くんですけど、それを電気湯でやったんです。

ちょうど「PERFECT DAYS」という映画が公開されている頃で、電気湯が映画の舞台になってたんですよ。毎日、主人公が入る銭湯が電気湯なんですね。それもあって60人以上集まったかな。いつもイベントは脱衣場でやるんですけど、全然入りきらないので、浴槽の方でやろうって話になったんですね。

小畑さんが湯船に腰掛けてそこでバイオリンを弾くという、貴重な体験になりました。

他にも面白い人はたくさんいたんですけどね。でもやっぱりそういう特別なプレゼンした人たちはちょっと心に残りますよね。

―100人カイギで、何か周りとか墨田区に与えた影響や変化を感じていることはありますか?

やっぱり、つながりができたことですかね。ゲーム開発をしている関場純さんとか、マイナースポーツの普及活動をしている渡邊史朗さんとか、100人カイギで知り合った人たちのコラボみたいな話が随所で出てくるので。

やっぱりそういう活動していても、なかなかお互いのことを知らなかったりもします。墨田も意外と地域で分かれたりするので、京島の人たちと両国の人たちとかだと全然、関係性がなかったりする。ところが、100人カイギで出会うことで「今度一緒にやりましょう」みたいになるので。

墨田区で一番南にある小学校の放課後の活動を、100人カイギのキュレーターの1人がやっているんですよ。100人カイギで出会った人たちをそこに呼んで小学生の前でいろいろとパフォーマンスをやったりするんです。僕は子どもたちとシャボン玉をやりに行きました。
世界大会にも出ているボールダンサーの鷹島姫乃さんなんかは、結構ガチの衣装を着て子どもたちの前でポールダンスをしてくれたそうです。

―今後その100人カイギの次の活動の中で、よりこんなふうに人々を巻き込んでいきたいな、そのためにはこんなことやろうかなんて思っているアイデアとかありますか?

とりあえず僕自身もやりたいことはいくつかあるんですけど、自分だけでやるのは大変じゃないですか。なので、いろんな人が「私これやりたいんですよ」みたいにどんどん積極的に手をあげてくれて、それをみんなが応援していくみたいな、そういったある種のエコシステム的なものを作っていきたいなと思っています。だから、あるときはこの人が主体でやるけど、別のときにはサポートに回るみたいな、それをみんなで応援するような形で、お互いに協力しながらできたらいいかなと思っています。

インタビュー:長尾 円
撮影:宮脇 恒

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