ストーマ装具メーカーのアルケア(墨田区錦糸1)とバリアフリー銭湯「御谷湯(みこくゆ)」(石原3)が6月11日、人工肛門・人工ぼうこう保有者(オストメイト)とその家族を対象とした「貸切入浴体験会」を同湯で開いた。
主催したアルケアは、ストーマ装具の国産唯一のメーカー。同社によると、ストーマ装具を適切に装着していれば衛生上の問題はなく入浴できるものの、社会的な認知や理解の不足から、多くのオストメイトが温泉や公衆浴場の利用をためらっているという。
こうした心理的・物理的なハードルを解消し、「心のバリアフリー」を広げようと、地域に根差した銭湯である御谷湯と連携して体験会を企画した。当日は全国各地からオストメイトと家族ら約20人が参加し、貸し切りの浴場で気兼ねなく入浴を楽しんだ。
参加者の一人は「温泉や公衆浴場に入るのは14年ぶり。ずっと入りたかった。本当に気持ちよかったし、久しぶりだったので疲れた」と笑顔を見せていた。
御谷湯店主の片岡シンさんは「2015(平成27)年にリニューアルした際、バリアフリー対応の一環としてオストメイト用のトイレを設置したが、当時は十分に理解できていなかった。その後、オストメイトについて学ぶ機会があり、今回アルケアから声をかけてもらった。地域に開かれた銭湯として、さまざまな人に利用してもらえれば」と話す。
入浴後は、アルケアの曳舟オフィス(京島1)へ場所を移し、「開発者と語ろう会」も開催。オストメイトと製品開発者がマンツーマンで向き合い、日常生活や入浴時の悩み、装具への要望などについて意見を交わした。
アルケアの神藤貴徳さんは「オストメイトの方は温泉や公衆浴場を利用する機会が少ない。今回の体験会が、自分らしい明日を実現するための一歩になれば」と話す。