
受刑者が制作した絵画や詩、手紙などを展示する「第3回刑務所アート展」が5月24日、京島劇場(墨田区京島3)を主会場に始まる。主催はPrison Arts Connections(プリズン・アーツ・コネクションズ)。
同展は、刑務所の内外をつなぐ対話を目的に、受刑者や刑務所関係者による芸術表現を集めて展示する取り組み。これまでに小金井市と足立区で開催され、全国約30の刑務所から寄せられた250点以上の作品を延べ1000人以上が鑑賞した。
3回目の開催地に京島を選んだ背景について、運営メンバーの黒木萌さんは「前回の足立区開催時に訪れてくれた友人が、墨田区で地域活動をしている方だった。その方は福祉やアートへの思いが強く、一人一人の表現を地域に開くことに共感してくれる人だった」と話す。
「その友人を通じて京島を訪れたとき、キラキラ橘商店街を中心に、長屋をリノベーションして活動している人たちがいて、とてもいい雰囲気を感じた。刑務所アート展が目指してきた『壁を越える対話』に、これまでと違う広がりが生まれるかもしれないと思った」とも。
今回は、京島劇場に加え、電気湯、サテライトキッチン、分館など複数会場での展開となる。現時点ではオープニングトークやクロージングトークを予定しており、今後さらにイベントが追加される見込み。
テーマは「あなたへ」「刑務所の中からのお願い」。誰かに宛てた匿名の手紙や、外の社会への思いをつづったメッセージなどを展示する。自由部門では、絵画、書、漫画、詩、短歌、俳句、川柳、エッセー、小説など多彩な作品が並ぶ。
黒木さんは「刑務所に限らず、社会にはさまざまな『壁』がある。対話が難しい状況でも、アートは互いが感じたことを共有するきっかけになる。刑務所アート展は正解を提示するものではなく、一人一人が作品を見てどう感じ、どう応答するか自体が大切。ポジティブな感情でなくても、モヤモヤでも構わない。気になった方は会場に来て、感じたことを私たちに聞かせてほしい。それが対話の始まりになると思う」と呼びかける。
開催時間は11時~19時。入場無料。6月14日まで。