
墨田区立川(たてかわ)で「福島ひまわり里親プロジェクト」に参加する地域住民が育てたヒマワリが満開の時期を迎えた。咲かせたのは、立川一丁目町会の「ふれあい委員会」と地域住民。
活動のきっかけは2011(平成23)年、東日本大震災直後に「少しでも福島に寄り添いたい」と始まった同プロジェクト。橋本印刷の橋本博社長の呼びかけで町会に広がった。
全国で展開されている「福島ひまわり里親プロジェクト」では、福島県から届いたヒマワリの種を各地の「里親」が育て、咲かせた後に再び種を福島へ送り返す。送られた種は、県内の学校や福祉施設、観光地などで植えられ、地域の景観づくりや除草用バイオ燃料としても活用されている。
立川一丁目町会では毎年春に種を配布。今年も5月に町内の50人に種を届け、商店街や家庭のプランター、屋上などで育成が進められた。参加者の中には、2メートル近くの大輪を咲かせた人もいれば、鳥害や高温・少雨の影響で苦戦したケースもあったという。
それでも「ヒマワリ、咲きましたか?」「今年は背が伸びないね」などの声が町内で交わされるようになり、花を通じたコミュニケーションが自然と生まれている。活動は世代を超えて広がりを見せている。
昨年は65人が育てたヒマワリから約1.3キロの種が収穫され、福島へ送られた。今年も秋にかけて収穫の時期を迎え、再び「希望の種」を福島に届ける予定だという。
ふれあい委員会の角田(つのだ)妙子委員長は「種がつないでくれるのは、命だけじゃなく、思いでもある。町会内でヒマワリいう共通言語ができて、コミュニケーションもスムーズ」と話す。