墨田区のスタートアップと区内ものづくり企業による実証実験の成果を発表する「プロトタイプ実証実験支援事業 成果報告会」が4月16日、「墨田区産業共創施設(SIC)」(墨田区錦糸4)で開かれた。
同事業は、区内のものづくり企業とスタートアップの共創により、社会課題の解決と新たな産業創出を目指す取り組み。報告会では、令和7年度採択企業5社と令和6年度採択企業5社の計10社が登壇し、それぞれの実証内容や成果を発表した。
当日は成果報告会に先立ち、2026年度に向けた公募説明会も行われた。説明会では、同事業の目的や応募条件、支援内容などが紹介され、4月30日を応募申込締切、5月22日を本申請締切とするスケジュールが示された。採択は5件で、特定課題テーマ「産業観光」は上限400万円、フリーテーマは上限200万円の支援を行う。
令和7年度の企業では、片岡屏風店が屏風の制作工程やショールームをバーチャルで体験できるVRツアーとEC連携モデルを紹介。Syncs.Designはゼロウェイストをテーマにした循環型商品の開発と教育プログラムの実装について報告した。SakuraRideは折りたたみ自転車を活用したシェアリングサービスによる観光回遊の可能性を示し、MY ROOMは空き家や空き工場を活用したレンタルスペース事業、UMIAILEは小型無人ボートによる海底地殻変動観測や河川地形測定の成果を発表した。
一方、令和6年度の企業では、ヨシズミプレスが工場内の騒音対策による労働環境改善の取り組みを報告。匠技研工業はAIを活用した見積業務の効率化、SlowFastは子ども靴の回収・再利用による循環型モデルの構築、Atelier Arsは区内企業と連携した装身具ブランドの開発、IGSAは音声解析を活用した認知機能の可視化サービスについて、それぞれ進捗を共有した。
当日は各社がプレゼンテーションと質疑応答を行い、大学や金融機関、鉄道事業者などの関係者がコメンテーターとして参加。実証から見えた課題や事業化に向けた可能性について議論が交わされた。
会場では、ものづくり企業とスタートアップの連携を広げ、1対1から複数企業による共創へと発展させていく必要性や、産業観光などを通じた外貨獲得型の新産業創出への期待が示された。