墨田区は4月1日、「あずま図書館」と「寺島図書館」を統合して区内最大の広さ・蔵書数となる「ひきふね図書館」(墨田区京島1)を曳舟駅近くに開館した。
同館は現在連続立体化事業が進められている京成押上線の曳舟駅新駅舎(2016年完成予定)前に位置する複合再開発ビル「マークフロントタワー曳舟」の2~5階部分を占め、専有面積は約3400平方メートル。約40万点の資料を収蔵する。
書庫(閉架)に保管された資料を2分以内に取り出せる「自動出納書庫」を23区で初めて採用したほか、複数で同時に操作できる大画面タッチ式情報パネルや、地域の生活情報も流れるデジタルサイネージなどの新しい技術を導入。個人用の学習席127席のうち82席は事前に予約ができる。
「障がい者ルーム」や中高生(ヤングアダルト)向けの書籍をそろえた「ティーンズルーム」も用意。小さな子どもとその保護者が気兼ねなく利用できるように「こどもとしょしつ」は少し離れた場所に配置し、「多目的ルーム」や「授乳室」、靴を脱いで親子で読書を楽しめ「おはなし会」などのイベントも行えるコルク張りの「はだしのコーナー」を完備した。
館内には伝統の江戸切り子を用いた意匠が施され、昨年6月に約80年の歴史を閉じた地元の「曳舟湯」や昭和レトロな雰囲気で知られる「鳩の街通り商店街」などのジオラマ、ゆかりの作家コーナーなど、区の産業・歴史・文化などをテーマにしたさまざまな展示がちりばめられている。
3階では6月19日まで、小さな博物館(Museum)・工房ショップ(Manufacturing shop)・すみだマイスター(Meister)の3つの運動から成る「すみだ3M運動」の32事業者の作品を展示。
4階では9月18日まで、アートプロジェクト「墨東まち見世2012」の「100日プロジェクト」の企画としてアーティスト新里碧さんが墨東エリア14カ所の銭湯に設置していた作品「曳舟湯怪(ゆかい)」(「曳舟湯」の配財から生まれた銭湯の妖怪)が集められ、制作の過程も含めて振り返る「曳舟湯怪アーカイヴス展」として展示している。
館長の村田里美さんは「資料の貸し出しや予約席を利用できるのは登録者のみだが、本を借りる以外にも新たな知識や情報に出合う楽しみがあふれているので、多くの人に通勤通学の途中などに立ち寄ってほしい」と来館を呼び掛ける。
開館時間は9時~21時(日曜・祝日は17時まで)。利用登録(カードの発行)ができるのは区内に在住・在勤・在学する人と、隣接7区の在住者のみ。