シフォンケーキなど米粉菓子を製造販売する「comenico lab(コメニコラボ)」が11月11日、押上に工場直売所(墨田区押上1)をオープンした。
同店はこれまで飯田橋(千代田区)で製造販売していたが、百貨店や地下鉄構内への出店拡大で生産量が増え、既存厨房では対応しきれなくなったことから11月1日、押上へ移転した。新厨房は従来の倍以上の広さがあり、生産能力は実質3倍規模に拡張したという。販売は店頭での注文・受け渡しに特化する。
主力の米粉シフォンケーキは、「チョコレート」「チョコチップ」「珈琲(コーヒー)マーブル」「オレンジピール」「玄米全粒粉」「塩バニラ」(各480円)などのフレーバーをそろえる。焼き菓子は「ブールドネージュ」(プレーン・きな粉、480円)、「ガレットブルトンヌ」(同、360円)、「フィナンシェ」(同、320円)を用意する。南魚沼産コシヒカリの米粉と同じ地域で育った大豆のきなこを使うなど、素材の統一性にこだわっているという。
製造販売を手がけるFrom Now Onの松岡正和社長は、原料の背景を知るために水質を求めて魚沼地区を訪ね歩き、六日町の米農家との出会いを経て南魚沼産コシヒカリを使った米粉にたどり着いた。「赤ちゃんでも食べられる安心なお菓子を作りたかった。魚沼産コシヒカリの米粉は吸水率が高く、扱いづらいが、その分、工夫の余地がある。当初はパン店で扱ってもらいたかったが軒並み断られ、最終的にシフォンケーキを製造していた奥田聖(たかし)さんと出会った。縁のつながりが今の事業に結びついている」と話す。
製造を担う奥田さんは、玄米米粉は通常は膨らみにくいことを踏まえ、気温や湿度の変化に合わせて配合を調整し、ふんわりと焼き上げる技術を確立したという。奥田さんは出身地の葛飾~墨田エリアに詳しく、押上駅周辺の再開発やファミリー層の増加も見込んで移転を後押しした。
同店には、小麦を控えている人やグルテンフリーを選ぶ人などが来店しているという。「わんぱく広場」など近隣施設からの来店も多く、夕方には帰宅途中の男性が土産として購入する姿も見られる。
国が米粉消費を後押しする施策を進める中で、松岡さんは「今後、麺やライスミルクなど、菓子以外の分野にも挑戦したい」と意気込む。
営業時間は12時~18時。水曜・日曜定休。