吾妻橋の「スーパードライホール」(墨田区吾妻橋1)4階の「アサヒ・アートスクエア」で現在、「オープン・スクアエ・プロジェクト」第1弾として、美術作家・北川貴好(たかよし)さんの初めての個展「フロアランドスケープ-開き、つないで、閉じていく」が開かれている。
大阪市出身で現在は墨田区向島在住の北川さんは、都市の建築物や公園などの屋外環境を大胆なアプローチで新たな「風景」へと変貌させた作品で注目を集めてきた。同展では、メーンホール4階に高さ約80センチの広大な床(フロア)を出現させ、そこをキャンバスに見立てて、「穴」をモチーフにした作品などを複数配置し「フロアの風景」をつくり出している。
個々の作品は、壁や床にびっしりと穴を開けたベッドルーム、運転を続ける全自動洗濯機を用いて排水と泡の表情を見せるもの、空き缶を使用した噴水、床に開けられた穴の一つひとつから生やしたさまざまな植物など、大半が過去に発表した作品の再制作または発展型と見ることもできる。「旧作の単なる集大成ではなく、いろいろな場所で作った穴のあるシーンが一枚の床の上で生まれ合って、一つの風景(ランドスケープ)を浮かび上がらせている」と北川さん。5階から、4階の床(フロア)を俯瞰(ふかん)で眺めたりすることもできる。
1月19日の朝には、イベントスペース「LwP(ループ)Asakusa」(台東区)の今村ひろゆき・まりさん夫妻を迎え、関連企画「朝食風景-OPEN SQUARE MORNING!」も開催。早朝から集まった参加者は、まりさんが作った「しょうが入り豆カレー」を持って作品の床に上がり、好みの場所にピクニックのように座って北川さんと今村さんのトークを聴きながら朝食を楽しんだ。
北川さんは「ここは外から中が全く見えない閉ざされたスペースで、窓もないので天気の変化もわからない。そんな中で何が行われているのかわかりにくい建築を、自分なりの方法や面白い企画で『開いて』みたい」と話す。
営業時間は11時~19時。火曜定休(29日は休み)料金は500円。2月5日まで。