墨田区内の公園やホールで開催される音楽イベント「すみだストリートジャズフェスティバル」が、10月18日の前夜祭で幕を開けた。
すみだトリフォニーホール(墨田区錦糸1)で行われたこの日の前夜祭。第一部は息のあったアンサンブルでジプシージャズを世界各地に普及をさせている「MASH弦楽団」の演奏で幕開け。続いて東京都立墨田川高校のOBバンド「つるつるズ」が演奏を行った。
第二部では、7月から9月にテレビ東京系列で放映された錦糸町を舞台にしたドラマ「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」の主題歌「燦美歌」を担当したMOROHAのライブが行われた後、トークイベントが開催された。トークには、ドラマを手掛けた廣木隆一監督、俳優でプロデューサーの柄本時生さんと今井隆文さん、女優のさとうほなみさん、そしてMOROHAのUKさんとアフロさんが登壇した。
柄本さんは、錦糸町がドラマの舞台となった経緯について「ドラマを制作する際、自分自身のテーマとして『地元』が浮かんだ。下北沢で育ったが、そこは知りすぎていて新鮮味がなかった。次にどこが良いかと考えた時、以前2本連続で舞台があり、すみだパークスタジオ(横川1丁目)に通っていた時期があった。錦糸町とスタジオ間を数カ月、歩いていたことを思い出し、最終的に錦糸町を選んだ」と振り返った。
今井さんは「僕も劇団をやっていた関係で、すみだパークスタジオや稽古場があった南口にもよく通っていたので、よく飲みにいくお店もあって馴染みの深い街。『錦糸町パラダイスといいながら、実際は錦糸町だけじゃない』という声も届いているが、錦糸町だけでは撮影が難しい部分もあったので、墨田区全体に撮影場所を広げた。9割近くを墨田区で撮影した」と話す。
廣木監督は「ドラマの最後に登場する音楽フェスのロケ地として大横川親水公園(錦糸1丁目)を選んだが、周囲にマンションが多く、本当に撮影できるのか心配だった。それでも多くの協力を得て無事に撮影できて良かった」とコメント。これに続けて、柄本さんは「錦糸町の撮影に関わって驚いたのは、地域の皆さんが本当に協力的だったこと」と感謝を述べた。
音楽フェスをドラマのラストシーンに選んだ理由について、柄本さんは「ロバート・アルトマン監督の映画『ナッシュビル』の群像劇が好きで、同じような世界をドラマで展開したかった。『ナッシュビル』のラストシーンが音楽フェスであり、すみだジャズの存在を知った時に運命を感じた。また、すみだジャズの創始者である能厚準(たくみこうじゅん)さんとの出会いも奇跡的で、能さんの協力なくしてこのシーンは実現しなかった」と語った。
最後に、錦糸町への思いを聞かれた柄本さんは「俳優としてプロデュースに関わることはあまりないが、今回は尊敬する監督や友人と共に作品を作れたのは特別な経験だった。僕の青春の場所になった」と話し、今井さんは「久しぶりに錦糸町に帰ってきてホッとした気持ちになった」と述べた。UKさんは「駅を降りた瞬間に錦糸町のエネルギーを感じた」、アフロさんは「詩を書くためにリサーチを兼ねて入った店の天井の低さとスカイツリーの大きさの対比が印象的。自分の歌詞の世界観に通じる街」、さとうさんは「錦糸町は役柄上、接点が少なかった。自分が演じる機会が多かったカフェデルコッファー(吾妻橋3)が印象深い」とそれぞれ語りイベントは終了した。
同フェスは19日、20日の両日、メイン会場の錦糸公園や隅田公園そよ風広場のほか、大横川親水公園イベント広場や錦糸町駅南口広場など全26会場で行われる。
開催時間は、19日=11時~21時、20日=10時~20時。入場無料。