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東向島で「こどもフォーラム」 フリースクール代表らが「生きづらさ」語る

イベント後半の座談会の様子

イベント後半の座談会の様子

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 学校や社会に生きづらさを感じる子どもや保護者、関係者に向けたイベント「すみだ生きづらいこどもフォーラム」が7月13日、「すみだ生涯学習センター(ユートリヤ)」(墨田区東向島2)で開かれた。

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 区内のフリースクールや保護者団体などが一堂に会するイベントは初めて。主催は、今年4月に押上でフリースクールを開校した「よりみち自習室」。後援は墨田区教育委員会。

 イベントは2部構成で行い、前半では神奈川県立田奈高校で校内カフェ「ぴっかりカフェ」を運営する団体「パノラマ」代表の石井正宏さんと、「孤独と居場所の社会学」「子どものための居場所論」などの著書で知られる早稲田大学教授の阿比留久美さんが、それぞれ30分ずつ講演を行った。

 石井さんは、若者支援の現場で感じる課題を紹介。相談室に自ら訪れることができる「勇者」のような子どもは一握りで、大半の子どもにとっては、気軽に大人と話せる「カフェのような居場所」が必要だと語り、会場からは共感の声が多く寄せられた。

 阿比留さんは「子どもの未来と社会での居場所」をテーマに登壇。通信制の学校の増加により、一時的に問題が見えにくくなる側面に触れた上で、「こどもは社会に適応するか、社会を変革するか、2つの道がある。変革の道では、親の会などの支援が大きな力になる」と話した。

 講演後には、進行役を務めた「よりみち自由室」代表の山口亮(まこと)さんを交えたクロストークが行われ、講演内容の理解を深めた。

 後半の座談会には、石井さん、阿比留さん、山口さんに加え、墨田区内で活動する支援者が登壇。「墨田区発達障害の子どもを持つ親の会」代表の三井田香奈さん、「みんなの駄菓子屋パチパチ(すみだの不登校を考える会)」の吉川智美さん、NPO法人「あなたのSOGIE/フリースクール be you」の古野ひとみさん、スクールカウンセラーの林千恵子さんが、それぞれの立場から現場の課題や思いを語った。

 「登壇者の多くが初対面だったが、同じ地域で活動する者同士、今後の連携の必要性を確認し合う機会となった」と山口さん。

 会場には、墨田区内や近隣地域から多くの人が訪れたほか、福井県など遠方からの参加者の姿もあった。不登校の中学生を持つ母親は「参考になる話ばかりで、参加して本当に良かった。自分の周りの人たちも涙ぐみながら話を聞いていた」と感想を話した。

 山口さんは「他地域からは教育関係者や議員なども参加していたが、墨田区では当事者の家族がほとんどだった。地域全体としての関心の低さを感じた。今回のように複数の団体が協力し、地域を少しずつ変えていけたら」と話す。

 9月上旬には、オンラインの会を開催予定。10月5日には、映画「ゆめパのじかん」の上映会と講演会の実施を予定している。

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