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すみだ北斎美術館で「北斎×プロデューサーズ」展 蔦屋重三郎らの役割を解説

澁谷哲一館長と和田幸恵副館長

澁谷哲一館長と和田幸恵副館長

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 NHK大河ドラマ「べらぼう」の主人公「蔦屋重三郎(蔦重)」ら江戸の板元(はんもと)のプロデュース力に着目した企画展「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」が3月18日、すみだ北斎美術館(墨田区亀沢2)で始まった。

企画展「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」

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 同展では江戸時代の板元(出版社)が葛飾北斎をどのようにプロデュースし、作品を世に送り出したのかをひもとく。江戸の出版文化を支えた板元たちの役割や、現代に受け継がれる浮世絵版画の制作技術にも焦点を当てる。展示は、前期(3月18日~4月20日)と後期(4月22日~5月25日)に分かれ、一部作品を入れ替える。

 序章では、浮世絵制作の工程や、企画・出版・販売を手がけた板元の役割を解説し、浮世絵がどのように世に出ていったのかを紹介。北斎の初期の版本挿絵や錦絵も展示し、江戸時代の出版事情が学べる構成となっている。

 第1章では、北斎の才能を見いだし、作品を広めた板元たちを紹介する。喜多川歌麿や東洲斎写楽を世に送り出し、北斎の初期作品を手掛けた蔦屋重三郎、「冨嶽三十六景」を出版した西村屋与八、「北斎漫画」を出版し、北斎の画風を広めた永楽屋東四郎の功績に焦点を当てる。葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」や「北斎漫画」などを展示する。

 第2章では、北斎と関わったその他の板元たちを取り上げる。京都発祥の老舗で歌麿や広重の作品を出版した鶴屋喜右衛門、「北斎漫画」を共同出版した角丸屋甚助、北斎晩年の錦絵シリーズ「百人一首うばが絵解き」を出版した伊勢屋三次郎、幕末を代表し「琉球八景」や「千絵の海」などの作品を出版した森屋治兵衛らが登場する。「画本東都遊」、「児童文殊稚教訓」などを展示しており、江戸時代の出版業界の広がりが分かる構成となっている。

 第3章では、江戸時代から続く浮世絵版画の伝統技術が、現代にどのように受け継がれているかを紹介。伝統的な木版技術を生かし、北斎をモチーフに制作された現代アート作品が展示される。福田美蘭さんの「冨嶽三十六景 凱風快晴」や、佐藤典久さんの「Rhythm」など、北斎の影響を受けた作品を通じて、浮世絵が今もなお多くのアーティストにインスピレーションを与えていることを感じられる展示となる。

 同展に関連し、専門家による講演会やスライドトークも開催。4月12日には東京大学教授の佐藤至子さんが「北斎と江戸文学-蔦屋重三郎の出版物を中心に」をテーマに講演し、5月6日には国立歴史民俗博物館教授の大久保純一さんが「浮世絵と江戸の版元-北斎と蔦屋重三郎を中心に」をテーマに語る。4月5日・26日には、同展担当学芸員によるスライドトークも予定。

 開館時間は9時30分~17時30分。観覧料は、一般=1,000円、高校生・大学生=700円、65歳以上=700円、中学生・障害者=300円、小学生以下無料。5月25日まで。

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