すみだ北斎美術館(墨田区亀沢2)開館9周年イベント「きほんのキ 基礎から学ぶ葛飾北斎」が11月24日、同館MARUGEN100(講座室)で開かれた。北斎作品の魅力を「基礎から学ぶ」ことをテーマに、「北斎のここがすごい!」を大久保淳一館長が語る初級講座。事前に申し込んだ40人が受講した。
大久保館長が来年の開館10周年に向けた注目作品に挙げた「隅田川両岸景色図巻」
冒頭、大久保館長は北斎の生涯について解説。葛飾北斎は1760年9月23日、本所割下水(現在の北斎通り付近)で生まれ、生涯の多くを本所や両国で過ごしたこと、現在では「墨田といえば北斎」と広く認知されている一方で、没地と墓所は浅草にあることを説明した。
続けて、大久保館長は「北斎が生涯で30回以上画号を改め、そのうち『北斎』を名乗っていたのは1798年~1814年の39歳~55歳ごろ。この時期に美人画や絵本挿絵を多く描いており、広く知られる『冨嶽三十六景』はその後の為一(いいち)時代の作品」と解説。
来年の開館10周年に向けての注目作品では、「隅田川両岸景色図巻」をピックアップ。「同作品は1802年に北斎が手で描いた肉筆の絵巻で、1892(明治25)年に上野で展示された後、美術商・林忠正の手に渡りパリへ。その後行方不明となっていたが、2015(平成27)年に100年以上を経て発見され、現在は同館が所蔵している貴重な作品」と紹介した。
同館では11月22日~24日、9周年企画の一環で「11月のポスター大集合!展」を開催。過去の企画展ポスターから来場者に投票してもらう企画で、2018(平成30)年11月の「大江戸グルメと北斎」と、2019(平成31)年11月の「北斎 視覚のマジック」が同率1位となり、続いて2025年11月の特別展「北斎をめぐる美人画の系譜~名譜たちと競演~」が3位に入った。
大久保館長は、来年予定している開館10周年企画として、「浮世絵の専門家3人を招いたシンポジウムを準備している」とした上で、「これからもさまざまな企画を行っていく。ぜひ美術館に足を運んでほしい」と呼びかける。
開館時間は9時30分~17時30分。月曜休館。入場料は、一般=400円、高校生・大学生=300円ほか。