
すみだ北斎美術館(墨田区亀沢2)で6月24日、企画展「あっ!っと北斎 ~みて、みつけて、みえてくる浮世絵~」が始まった。
浮世絵師・葛飾北斎の作品を「見て」「気づいて」「発見する」ことをテーマにした同展。展示室には北斎が描いた風景画や肉筆画、絵手本などを中心に約40点を展示し、作品の共通点や違いを楽しむ仕掛けや、視線誘導を意識した構図の工夫などを紹介する。
初日の開会式では、山本亨墨田区長が「美術館は昨年18万人が来館し、区にとって大切な観光資源。来年で開館10周年を迎える」とあいさつ。前館長で公益財団法人「墨田区文化振興財団」理事長の渋谷哲一さんは、新館長に浮世絵研究の第一人者・大久保純一さんを迎えたことを報告し、「今後の展開にも期待してほしい」と来館者に呼びかけた。
担当学芸員の千葉椎奈さんは、展示内容について、「『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏(なみうら)』(出品番号10)では、大きな三角波の中に、まるで雪をかぶった富士山のような波が描かれており、背景には静かにたたずむ本物の富士山が小さく配置されている。動と静の対比が印象的」と解説する。
「敵討裏見葛葉」(同24・25)は薄墨を用いた繊細な筆致が特徴で、登場人物の心情までも表現するような画面構成が目を引く。「柳に燕図」(同31)では、柳のしなやかさとツバメの疾走感が調和し、画面に軽やかなリズムを生み出しているという。
会場にはフォトスポットや自由研究向けのワークシートも設置する。関連イベントとしてスライドトークや江戸時代の絵画に使われた青色をテーマにした講演会、筑波大学と連携した教育普及イベント「北斎で自由研究」(8月)などを開く。
開館時間は9時30分~17時30分。月曜休館(祝日の場合は翌火曜)。入館料は、一般=1,000円、中高生=300円、小学生以下無料。8月31日まで。