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押上文庫で文学講座「宵の文学」 和ろうそくの明かりで名作味わう

和ろうそくの灯りで「陰翳礼讃」など名作文学を聴き入った

和ろうそくの灯りで「陰翳礼讃」など名作文学を聴き入った

 文学講座「宵の文学―闇を聴く、夜を読むー」が5月31日、日本酒サロン「押上文庫」(墨田区押上3)で開かれた。主催はたなごころ塾。

和ろうそくの灯りで文学を楽しんだ

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 同講座は、和ろうそくの明かりの中で文学作品を味わう体験型企画。「平家物語」文覚発心譚、芥川龍之介の「袈裟と盛遠」、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」を題材に、「闇」をテーマにした文学の世界をたどった。和ろうそくは京都のろうそく「京ROUSOKU+」を使用。

 講師を務めたのは、同塾主宰で高校国語教師、大学講師でもある大川真智子さん。冒頭、大川さんは「もっと生活の延長線上で、もっと身近な場所で、大人がもう一度、文化やことばと出会い直せる場を作れないだろうか。そんな思いから『たなごころ塾』を始めた」と話した。

 大川さんは向島の古い木造家屋で育った自身の体験を紹介しながら、「昔の家にはいつも闇があった。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を読んだ時、その記憶と結びついた」と説明。押上文庫店主との会話の中で、畳に座る暮らしや日本家屋の薄暗さについて語り合ったことが、今回の企画のきっかけになったという。

 講座では前半に「平家物語」文覚発心譚と芥川龍之介の「袈裟と盛遠」を取り上げた。参加者は照明を落とした室内で和ろうそくの炎だけを頼りに、大川さんによる朗読に耳を傾けた。

 文覚発心譚では、後に僧・文覚となる遠藤盛遠と袈裟御前を巡る悲劇を紹介。続いて芥川の「袈裟と盛遠」では、同じ物語を題材にしながらも登場人物の内面に焦点を当てた作品を読み解き、人間の執着や欲望、自分でも理解できない心の揺らぎについて考察した。

 休憩を挟んだ後半、和ろうそくを提供したシャノワ(江東橋4)の宮脇恒社長が、和ろうそくの材料や製造方法について解説した。講座では、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を取り上げた。大川さんは、近代化によって日本の暮らしが明るくなっていく中で、谷崎が「闇」の中にある日本独自の美意識を見つめ直そうとしたことを紹介。「美は物そのものではなく、物と物との間に生まれる陰影の中にある」という考え方を解説した。参加者は揺れる炎が生み出す影を眺めながら、言葉と静寂に耳を澄ませた。

 大川さんは「平安の夜も、大正の夜も、昭和の夜も、人は闇の中で言葉に耳を澄ませてきた。今日の時間が皆さんの中に少しでも残ってくれたらうれしい」と呼びかけ、講座を締めくくった。

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