「墨田区産業共創施設(SIC)」(墨田区錦糸4)で5月9日、講演会「地域メディアの本質と活用方法」が開かれた。
講演したのは、すみだ経済新聞編集長でChanois(シャノワ)社長の宮脇恒(わたる)さん。すみだビジネスラボの取り組みの一環として開催し、当日は区内事業者のほか、墨田区の広報担当者や区議会議員らも参加した。
冒頭では、「まちを編集する」という考え方についても解説。宮脇さんは「地域メディアの役割は、単に情報を発信することではなく、人をつなぎ、地域の魅力を発掘し、地域の流れをつくっていくこと。『まちを編集する』とは、地域の小さな熱量を見つけ、人の行動やつながりにつなげていくこと」と説明した。
講演では地域メディアとマスメディアの違いや、なぜ地域メディアが人を動かせるのかについても、実際の取材事例やデータを交えながら紹介。現場主義やライブ感、市民記者の役割などについても説明した。
宮脇さんは、すみだ経済新聞が2026年4月に月間186万PVを達成した背景として、「徹底した現場取材」「20人の市民記者による共創コミュニティー」「データ分析」「AIによる情報整理」の4つを紹介。一過性ではなく再現性を重視した仕組み化を強調したほか、「地域メディアは単なる情報発信ではなく、地域の熱量を循環させる装置」と説明した。
地域メディアの強みとして、「距離」「熱量」「関係性」の3点も挙げた。地域で起きている出来事を「自分事」として捉えられる距離感や、行列・拍手・にぎわいなど現場のライブ感を伝えることが、人の行動につながると話した。
併せて、「取材・掲載ガイドライン」として、「現場主義」「当事者目線」「丁寧なコミュニケーション」「プラスの視点」を重視していることも紹介。地域にとって価値のある情報を丁寧に届ける姿勢について説明した。
後半では、今後の展開として、同社が運営する地域ポータルサイト「すみだパレット」や公式LINE、行政連携などを通じ、「信頼を構造化するフェーズ」に入っていることも紹介。記事配信だけで終わらず、地域との接点を広げながら「メディアを使う側から、一緒につくる側へ」と転換していく考えを示した。
市民記者に関する話題も上がり、宮脇さんは「記事を書くことだけが市民記者ではない。地域を楽しみ、人をつなぎ、まちの魅力を見つけることも大切な役割」と説明。「地域を消費する側ではなく、一緒につくる側として関わる存在」と表現した。
参加した区内事業者の一人は「地域メディアを単なる広告媒体ではなく、人や地域を動かす仕組みとして捉えている点が印象的だった」と振り返る。
講演後には参加者同士の交流も行われ、地域メディアの可能性や市民記者活動について意見交換する姿も見られた。