一般社団法人「墨田区観光協会」が9月18日、行政や町会、宿泊事業者、民泊仲介会社などで構成する「地域と宿泊事業者との共生に向けた協議会」を設置し、第1回会合を開いた。
墨田区では、インバウンド需要の回復に伴い、旅館業や住宅宿泊事業(民泊)の施設が増えている。2022年度末に旅館業342施設、住宅宿泊事業576施設だったのに対し、2025年度末には旅館業1195施設、住宅宿泊事業2431施設となった。旅館業の施設数は都内最多、住宅宿泊事業は新宿区に次いで都内2位だという。
施設増加に伴い、騒音やごみ出し、緊急連絡先につながらないなど、地域住民からの苦情も増えている。昨年度318件だった苦情件数は、本年度、約700件に達する見込みだという。
墨田区では4月、「墨田区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例」を施行し、「住宅宿泊事業の実施運営に関するガイドライン」を適用。4月以降に届け出があった家主不在型施設の営業可能曜日を制限するなど、住宅宿泊事業の適正な運営に向けたルールを設けた。
こうした状況を受け、同協会は法令やガイドラインの周知に加え、地域に配慮した運営を行う宿泊施設を可視化する仕組みづくりを目的に協議会を設置した。第1回会合には、墨田区保健衛生部・産業観光部、町会、宿泊事業者、民泊仲介会社などが参加し、区内の宿泊施設を取り巻く現状や各者の取り組みを共有した。
今後は、区のガイドラインを分かりやすく解説する冊子「すみだ民泊ブック(仮)」を作成するほか、区内の宿泊事業者を対象にアンケートや意見交換会を行う。本年度は「墨田区の地域にとってよい民泊」の基準づくりを進め、将来的には基準を満たした施設を対象とした認証制度の導入も検討する。
協議会には町会関係者のほか、宿泊事業者、matsuri technologies(マツリテクノロジーズ)、Airbnb Japanなどが参加。墨田区観光協会の森山育子理事長が座長を務める。
森山理事長は「観光地域の主体は住民。住民が安心して観光客を受け入れられる環境づくりがあってこそ、持続可能な観光推進を行うことができる」と話す。「民泊そのものを制限するのではなく、墨田区らしい『共生』のかたちを模索したい。ルールを守らない事業者には厳しい姿勢で臨む一方、真摯(しんし)に地域と向き合う事業者とは手を取り合い、区民の安心・安全と旅行者に選ばれる観光地であることを両立させていきたい」とも。
10月には宿泊事業者向けの意見交換会、11月には第2回協議会を予定する。