採用・育成・組織づくりの支援を軸に、企業研修やコーチングを行う有限会社ラプラス代表の長尾円さん。すみだ経済新聞を運営する株式会社シャノワ(墨田区江東橋4)では社外取締役として事業整理や戦略設計に関わり、すみだ経済新聞の成長も支えてきた。
シャノワの関連インタビュー記事は「すみだ経済新聞 宮脇恒編集長インタビュー前編」へ
今回は、長尾さんにこれまでの歩みやシャノワとの関わり、すみだ経済新聞への思いについて聞いた。

シャノワとの関わり
すみだ経済新聞:
シャノワにはどのように関わるようになったのでしょうか。
長尾円さん:
2019年からです。
シャノワ代表の宮脇さんから依頼を受け、最初はビジネスコーチングのセッションから始まりました。
そこから宮脇さんが描いていたビジネスプランを形にしていくビジネスパートナーとして参画するようになりました。
その後、社外取締役として事業整理や戦略設計にも関わり、現在に至っています。
すみだ経済新聞:
どのような支援を行ったのでしょうか。
長尾円さん:
当時は複数の法人や事業が並行して存在していました。
そこで「何のために存在する会社なのか」という部分から整理し、事業の軸を明確にしていきました。
現在の株式会社シャノワへと統合していく過程でも関わりました。
単なる事業整理ではなく、会社の存在意義や社会との関わり方を言語化し、それを軸に事業を再設計していった形です。
久留米絣マスク誕生
すみだ経済新聞:
シャノワの役割で印象に残った経験を教えてください。
長尾円さん:
2020年に入り、コロナ禍に直面しました。
そのタイミングで「池田絣工房」さんという久留米絣の老舗と取り組んだ事業が印象に残っています。
当初は久留米絣の工房さんから「久留米絣の生地を海外に紹介したい」という相談を受けていました。
ところがコロナでマスク不足になりました。
藍染めの既成生地を使ったマスクが作れるという話になり、私はもともとガーゼが好きだったので、藍染めガーゼを使ったマスクを企画しました。

すみだ経済新聞:
どんなマスクだったのでしょうか。
長尾円さん:
世の中では機能性マスクが次々に発売されていました。
でも私たちはその反対側ともいえるアナログな商品を作りました。
伝統の技術を生かした製法。肌触りや心地良さ、素材の魅力を大切にしたマスクです。
それがテレビ局の目に留まり、大ヒット商品になりました。
当時は広報も兼任していて本当に忙しかったですが、後にすみだ経済新聞へ関わるうえでも大きな経験になりました。
京ROUSOKU+という挑戦
すみだ経済新聞:
他にも取り組みされたことはありましたか?
長尾円さん:
京都の和ろうそく屋さんとブランドを立ち上げました。
製造元の中村ローソクさんは、もともと宮脇さんが運営していた伏見経済新聞の取材先でした。
コロナ禍で寺社仏閣への参拝客が減り、ろうそく業界も大きな影響を受けていました。
このままでは厳しいという状況の中で、個人向けのブランドを作ろうということで、新ブランド「京ROUSOKU+(京ろうそくプラス)」を立ち上げました。

すみだ経済新聞:
こだわった点はありましたか?
長尾円さん:
顧客視点です。
品質はもちろんですが、ブランド名やロゴ、商品名、商品設計まで細部に徹底してこだわりました。
特に香りろうそくという商品は、暦の二十四節気に合わせて毎月香りと色を変える商品として企画しました。
精油開発から顔料探しまで、京都のアインデンティティーにもこだわり、多くの方々と試行錯誤しながら作り上げました。
すみだ経済新聞との関わり
すみだ経済新聞:
すみだ経済新聞にはどのように関わるようになったのでしょうか。
長尾円さん:
すみだ経済新聞の立ち上げ時、地域メディアとしての役割や骨格づくりを一緒に考えるところから関わりました。
私は直接運営に関わっているわけではありません。
ただ、プロデュース業務を通じて、地域の発信力を高めていくことの重要性は感じていました。
宮脇さんが墨田区で地域メディアを立ち上げることになり、その過程を近くで見てきました。
最初は本当に人脈もゼロでしたが、一つひとつ信頼関係を築きながら地域とのつながりを広げていきました。
その姿を見ていたからこそ、地域メディアの可能性を強く感じています。
すみだ経済新聞のルール
すみだ経済新聞:
すみだ経済新聞の立ち上げで工夫した点はありましたか?
長尾円さん:
地域メディアは記事を書くだけでは育ちません。
地域の中に入っていくことが大切です。
まず「人をつなぎ、魅力を発掘し、まちを編集すること」というコンセプトを一緒に考えました。
宮脇さんには、「月20本記事を書く」「月50人と名刺交換する」「イベントに参加する」「誘いを断らない」「仲間を集める」といったことを本人にきめていただき、行動できるようにサポートしてきました。
メディアを育てるというより、人との関係性を育てるイメージですね。
地域で信頼関係を築くことが、結果としてメディアの力になっていくと思っていました。
キーパーソンインタビューの魅力
すみだ経済新聞:
特集インタビューの聞き手も務めていますがいかがでしたか?
長尾円さん:
はい、「すみだ活性化のキーパーソンが語る墨田と私」のインタビュアーを担当しました。
山本亨区長をはじめ、墨田区で活躍されているさまざまな方のお話を聞く機会をいただきました。
メディアだからこそ会える人がいます。
皆さん立場も経歴も違いますが、それぞれに人生の物語があります。
お話を伺うたびに「こんな考え方があるんだ」「こんな経験をしてきたんだ」という発見があります。
それが面白くて続けてきたのだと思います。
インタビューは取材というより、その人の人生を教えてもらう時間に近いのかもしれません。
※「すみだ活性化のキーパーソンが語る墨田と私」
第1回 山本亨 墨田区区長
第2回 山口亮さん
第3回 菊池和貴さん
第4回 中村伊知哉 iU情報経営イノベーション専門職大学学長
第5回 澁谷哲一 墨田区文化振興財団理事長
第6回 森山育子 墨田区観光協会理事長
第7回 北川亮 東武タウンソラマチ社長
第8回 山田昇 全国商店街振興組合連合会理事長
第9回 多賀健太郎さん
第10回 牧野裕美子さん・森下八尋さん・皆川未来さん(対談)

人には必ず強みがある
すみだ経済新聞:
長尾さんが大切にしている考え方を教えてください。
長尾円さん:
言葉よりも行動で人を見ています。
他人の噂よりも、その人の実際の行動で判断することが大切だと思います。
インタビューでもコーチングでも同じですが、私は相手の話を聞きながら、その人らしさや魅力を見つけることが好きなんだと思います。
傾聴というと「話を聞くこと」だと思われがちですが、私は少し違います。
その人の言葉の奥にある思いや価値観、まだ言葉になっていない強みを一緒に見つけていくことだと思っています。
強みが見つかると、人は前を向けます。自信にもなります。
私はこれまでずっと、そのお手伝いをしてきました。
長尾さんが現在まで貫いている「人には必ず強みがある」という考え方。その原点はどこにあるのか。中編では、CAを目指した学生時代から現在のコーチングへとつながる歩みを聞く。
(取材・構成:森下八尋 / 監修:宮脇恒)
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