京島の書店「本屋ものはいいよう」(墨田区京島3)で9月4日、小説展「すみだは住みよう」が始まった。「すみだ五彩の芸術祭」の連携企画で、店主で作家の林光太郎さんとショートショート作家の白川湊太郎さんが、墨田区を題材に書いた作品を展示・販売する。
2人は曳舟の「ノウドひきふね」を通じて知り合った。共に墨田区を題材に小説を書いていることから、林さんが白川さんに声をかけ、今回の展示が実現した。
展示では、墨田区内循環バス「すみまるくん」が走る「南部」「北西部」「北東部」の3エリアをテーマに、それぞれが小説を執筆。2人の作品を並べ、同じ街を異なる視点から描き出す。
会場は、築93年の長屋を活用した「本屋ものはいいよう」。展示作品を載せる棚には、能登半島地震で被災した家屋の階段の廃材も使われている。店内には瓦を座面に使った椅子など、古いものを生かしたしつらえが随所に見られる。
長野県出身の林さんは、墨田区を題材にした小説を「すみだノート」などで発表してきた。「同じ時代に、同じ墨田区をテーマに小説を書いている人は珍しい。2人の作品を並べたら、見方の違いを見せられるのではと思った」と話す。
石川県出身で墨田区在住の白川さんは、街で目にしたものから空想を膨らませ、ショートショートを書いてきた。アサヒビール本社のオブジェや屋形船、長命寺桜もち、本所七不思議の「置いてけ堀」なども作品の題材にしてきたという。
白川さんは「墨田区には、題材にしたら面白いと思えるものがたくさんある。街のいろいろなモチーフを見ていると、空想が広がる瞬間が多かった」と振り返る。
林さんは「自分たちは外から来た人間だからこそ、客観的に墨田を見ることができた。新旧が入り交じっている感じが好き。相撲取りがいて、向島には芸者がいて、長屋がある。一方で真ん中にはスカイツリーがそびえ立っている。そんな対比が面白い街」と話す。「この街を知るきっかけとして、切り口の違う2人の視点から小説を書いた。本を片手に街歩きをしても楽しいのでは」とも。
開催時間は12時~18時。月曜・火曜定休。9月13日まで。